口唇ヘルペス治療は市販薬でOK 薬剤師おすすめ品と効果的な塗り方を伝授

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「ヘルペス」とは「水ぶくれ」という意味です。医学的用語では、「疱疹(ほうしん)」といいます。

ヘルペスウイルスに感染すると水ぶくれを起こすのですが、水ぶくれ=ヘルペスウイルスが原因ではありません。ややこしい話ですね。

それはさておき、くちびるに水ぶくれが出来る「口唇ヘルペス」は、花粉症の治療と同じく病院を受診することなく市販薬で病院を受診するのと同じ内容の治療をすることが可能な数少ない病気です。

口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスに感染した場合に発症するのですが、人生で一度でも単純ヘルペスウイルスに感染すると桃太郎電鉄の貧乏神みたくずっとお付き合いをしなければいけない病気です。

ヘルペスウイルスには色々な種類があって、子供の頃に予防接種をしたことがある、または実際にかかったことがあると思いますが、「みずぼうそう」もヘルペスウイルスによって引き起こされます。

または性病の一種で性器に水ぶくれができる「性器ヘルペス」もヘルペスウイルスが原因です。

この記事ではそんなヘルペスウイルスによって引き起こされる水ぶくれの中で、「口唇ヘルペス」にのみ使用できる市販薬のおすすめ品を紹介すると共に効果を高く効かせるための秘訣を薬剤師が伝授したいと思います。

なぜ口唇ヘルペスなのか、性器ヘルペスは市販薬で治療できないのかについても交えて紹介しますよ。

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意外と知らない ウイルスに効く薬って少ない

ウイルスはものすごく単純な構造をしています。

一言でいえば「DNAとそれを包むタンパク質だけ」です。DNAの代わりにRNAという遺伝子を持っているウイルスもいますが、基本的には遺伝子とタンパク質だけで構成されています。

人間の細胞もDNAとそれを包むタンパク質がありますから、ウイルスに効かす薬はだいたい人間の細胞にも効いてしまって副作用が出まくる超危険な薬となってしまいます。

治療薬を作りたいウイルスがある時は、そのウイルスの構造を研究しまくって、「人間の細胞には無いけどウイルスだけが持っている部分」を頑張って探します。

運よくそれが見つかれば、副作用が少なくウイルスにも効くちゃんとした薬になります。

だったら研究しまくればいつかは薬が作れるでしょって思いましたよね?でも、そうは簡単にはいきません。

ウイルスは構造が単純過ぎて、すぐに突然変異して微妙に持っている物を変えてきます。

なので、「人間の細胞には無いけど、ウイルスだけが持っていて、ほとんど変化しない部分」を見つけ出さなければいけません。

これがウイルスへ効く薬が少ない理由です。

昔はウイルスに効く薬は作れないと考えられていたのですが、ノーベル医学賞を受賞した「ガートルード・ベル・エリオン」というアメリカの方が「アシクロビル」というヘルペスウイルスに効く薬を創ったのが最初です。

アシクロビルは現在もヘルペスウイルスの治療に使われる薬です。

薬がある主なウイルス性疾患は、インフルエンザ、HIV(エイズ)、B型肝炎、C型肝炎です(他にも数種類あります)。

ちなみに風邪はほんとどウイルスが原因ですが特効薬はありません。風邪の特効薬を創ったらノーベル賞クラスとも言われています。

ウイルスの病気が市販薬で治療できるなんてスゴイことなんですよ。

ヘルペスウイルスは複数種類いる

実はヘルペスウイルスは、たくさんの種類があります。

口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こすのは「単純ヘルペス」で、同じ単純ヘルペスでもさらに複数種類があって口唇ヘルペスと性器ヘルペスは厳密には異なるウイルスによって引き起こされます。

みずぼうそうと帯状疱疹は同じウイルスで、それらを引き起こすのは「水痘・帯状疱疹ウイルス」です

ヘルペスウイルスは他にもたくさんあります。

この記事でおすすめする市販薬で効果があるウイルスは、単純ヘルペスと水痘・帯状疱疹ウイルスです。

でも理由があって単純ヘルペスの中でも口唇ヘルペスの症状にしか使用することができません。

口唇ヘルペスとはどういった病気?

口唇ヘルペスには色々なサイトで紹介されていますから詳しくはそっちを読んでください。例えば、口唇ヘルペス治療薬を発売している製薬会社のホームページが信頼性があっていいと思います。

口唇ヘルペスは、人生のどこかで単純ヘルペスに感染することで引き起こされます。

赤ちゃんの頃に親から感染するのが多いとされています。キスしたりほおずりしたりしたりした時です。

感染すると顔の奥の「三叉神経」という所に潜んでいて、疲れがひどいとか体調不良時にウイルスが表面にやってきて発症します。

紫外線とか肌に刺激がある時にも発症することがあります。

ウイルスが表面に出てくると口のところにヘルペスの名の通り「水ぶくれ」を引き起こします。

始めはヒリヒリするくらいですが、次に赤くなって水ぶくれができます。最後に水ぶくれが破裂してかさぶたが出来て治ります。

通常は何も治療しなくても1~2週間で治りますが、水ぶくれがひどいと傷あとが残ることがありますし何より口に症状が出ますから、特に女性はイヤですよね。

ウイルスはずっと体に潜んでいるわけですから何度も口唇ヘルペスになりますし、繰り返すと口唇ヘルペスになりそうな感じが分かってきます。

実は、この記事でおすすめする市販薬はそういった繰り替えす口唇ヘルペスの方専用の薬になります。

初めて口唇ヘルペスになる方には使えません。

繰り返す口唇ヘルペスに効果的なおすすめ市販薬

「アラセナS軟膏」を最もおすすめします。

医療用薬としても「アラセナA軟膏」という商品名で全く同じ薬が発売され、皮膚科医師の多くが口唇ヘルペスにはアラセナで治療します。

「軟膏」と「クリーム」の2種類がありますが「軟膏」の方がおすすめです。

軟膏は油が主成分でクリームは水分が主成分です。

クリームはサラサラとしていて塗りやすいのですが、キズがある部分に塗った時は水分が多いと、しみて痛くなる可能性がありますし、汗などで流れやすくて薬が落ちやすいです。

逆に軟膏はベタベタとしていて使用感はあまりよくありませんが、しみませんし取れにくいという特徴があります。

実は口唇ヘルペスの治療ができる市販薬は、上記のノーベル賞を受賞された方が発見した「アシクロビル」という成分か、アラセナの「ビタラビン」しかありません。

効果はほとんど変わらないのが実情ですのでどっち使ってもらってもいいのですが、次の理由で市販薬で使用するならビタラビンにしておく方がアナタのためです。

上述したとおりウイルスは構造が単純なためすぐに変化しますから薬への対応力もあります。頻繁に使っていると薬が効きづらいウイルスに変化する可能性があります。

医療用薬のヘルペスにとても効果的な飲み薬である「バルトレックス」という薬は、薬を服用すると体の中で「アシクロビル」に変化して効果を発揮します。

症状の軽いうちは塗り薬で対応できるのですが、症状が重い時や帯状疱疹など体の中で起こるヘルペスウイルスによる症状には飲み薬で対応するしかありません。

そのイザという時に薬が効きづらかったら大変ですよね。

なので症状が軽い口唇ヘルペスでは「アシクロビル」ではなくて「ビタラビン」を使った方がいいというワケです。

少し後ろ向きなおすすめ理由ですが、ヘルペスウイルスは場合によって眼で症状が出ることがあって、ひどいと失明の危機すらありますので効果的に対応できる手段は取っておいた方が安心ですよね。

アラセナS軟膏を効果的に使用する方法

塗り始めるタイミング

アシクロビルもビタラビンもウイルスを殺す薬ではなくて増殖を抑制する薬ですので、ウイルスが増えきってしまうと効果が下がります。

症状初期のヒリヒリする時はウイルス量が少ないのですが、だんだんウイルス量が増えて水ぶくれに症状が発展しますから、ウイルス量が少ない初期症状の時から塗り始めると効果的です。

塗る時間

多少、口の中に入ってしまうのは問題ではありませんが、取れてしまっては問題ですので食前よりは食後に塗る方が効果的です。

食事の時間から離れている時間に塗る場合は、30分以上は飲食しないようにしてください。

塗る回数

これが一番重要。

薬の説明書には「1日1回から4回塗る」とありますが、必ず4回塗ってください。むしろ2~3時間おきくらいにこまめに塗ってもいいくらいです。

塗り薬は、つい触ってしまったとか外的な要因で取れやすいため、患部から薬を切らさないよう繰り返し補充する必要があります。ウイルスは常に増殖していますから常に薬を補給するというイメージで。

塗るのをやめるタイミング

水ぶくれの後のかさぶたになってしまったら、そこにはほとんどウイルスがいません。

患部が、かさぶたになって完全に乾いたら塗るのをやめても大丈夫です。

アラセナS軟膏が口唇ヘルペスにしか使えない理由

理論的にはアラセナは、単純ヘルペスと水痘・帯状疱疹ヘルペスの各ウイルスに有効です。

でも大人な事情ってヤツで、アラセナS軟膏は「繰り返す口唇ヘルペス」にしか使ってはいけないことになっています。(厚生労働省が繰り返す口唇ヘルペスの治療にしか認可していません)

同じ口唇ヘルペスでも初めての方にも使用できませんし、性器ヘルペスにも使えません。

使えば効果はありますが重大な副作用が起こった時に国から補償を受けることができませんので自己責任となります。

口の中のヘルペス 口内ヘルペスに使える市販薬は?

市販のヘルペスの薬は、多少口に入っても問題がないようにできていますが、積極的に口の中に入れるものではありません。

また上記の大人な事情もありますので、口の中に多数の水ぶくれがあってヒリヒリとする時は、皮膚科を受診するようにしましょう。バルトレックスなど内服の薬を服用することになると思います。
参考

口内炎と便秘は同じ治療?薬剤師が口内炎と細菌の関係性を紹介
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セルフメディケーション税制の対象品

セルフメディケーション税制は、市販薬の購入費で税金が安くなる制度です。

セルフメディケーション税制 医療費控除の特例を受けるポイント
「セルフメディケーション」は、英語で「自分自身」という意味を持つ「self:セルフ」と「薬物療法」という意味を持つ「medicati...

この記事でおすすめした市販薬が、セルフメディケーション税制の対象になるかどうかを紹介します。

対象になる市販薬は「○」、対象にならない市販薬は「×」で示します。

市販薬名 対象
アラセナS

まとめ

ヘルペスウイルスによる病気はたくさんありますが、くちびるにできるヘルペス症状である「口唇ヘルペス」の場合には病院を受診することなく、市販薬で効果的な治療を行うことができます。

口唇ヘルペスの治療に使える市販薬は商品はたくさんありますが、成分としては2種類しかありません。

その内の「アシクロビル」は、飲み薬のヘルペス治療薬として効果が高い「バルトレックス」が体の中で活性化した成分と同じであるため、アシクロビルにウイルスが効かなくなってしまったら大変です。

もう一つの「ビタラビン」も口唇ヘルペスへの効果は同じくらいですから、市販薬での治療はまずはアラセナS軟膏を使うことをおすすめします。

アラセナS軟膏の効果を高めるためには、症状が軽い内から1日4回食後に塗るといいでしょう。

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