次世代の糖尿病薬SGLT2阻害薬


ここ数年で糖尿病治療薬が激変しています。
2009年頃からDPP4阻害薬、GLP-1作動薬といったインクレチン関連薬が発売され、今や無くてはならないものになっています。さらに2013年からは、それらとも異なる作用機序を持つ糖尿病薬が発売されますので、その薬についてお伝えしたいと思います。


新しい糖尿病の薬とは

ずばりSGLT2阻害薬です。

SGLTとは、Sodium-glucose transporterの略で、ナトリウム・グルコース共役輸送体と訳されます。

SGLTは、主に消化管、心臓、骨格筋、肝臓、肺、腎臓の近位尿細管にあるSGLT1、主に腎臓の近位尿細管にあるSGLT2、悪性腫瘍や小腸の神経細胞に発現するSGLT3の3つのサブタイプが確認されています。

糸球体でろ過された原尿には血漿と同じ濃度のブドウ糖を含みますが、通常近位尿細管で99%以上のブドウ糖が再吸収されますが、それを担うのがSGLT2であるということが確認されています。そのため、エネルギー源である糖が尿で排出されないようになっており、尿からは糖は検出されません。

しかし、糖尿病の方はエネルギー過剰な状況で、SGLT2で再吸収できない糖が尿に排出されてしまっています。糖尿病とは尿に糖が存在すること自体が悪いのではなく、近位尿細管で再吸収されて血糖が上がりすぎることが問題ですので、SGLT2を阻害することで糖を尿に排出させて血糖を下げてしまおうというコンセプトの薬になります。

必要な物を捨ててしまうという逆転の発想から生まれた薬なのです。

効果について

2012年にSGLT2阻害剤カナグリフロジンの臨床試験結果が米国糖尿病学会(ADA)で発表されています。
A1C7%未満達成率は、プラセボ群20.6%に対してカナグリフロジン100mg群44.5%、カナグリフロジン300mg群62.4%で両群とも有意差がえられています。一方、A1C6.5%未満に達する割合は、用量依存的にプラセボ群より高い傾向を示していますが、有意差は見られていないとのことです。

このほか、空腹時血糖、食後血糖、体重、収縮期血圧、HDLコレステロールのいずれも用量依存的にプラセボと比較して有意差をもって効果があったとのことことです。

エネルギー減を捨てることによる体重減少とそれによる血圧やコレステロールの改善が期待できる夢のような薬ですね。

副作用について

有害事象の発生率は、プラセボ群で9.4%に対して、カナグリフロジン100mg群 で17.4%、カナグリフロジン300mg群で 25.4%で、重篤な有害事象はそれぞれ2.1%、4.1%、1.0%でした。

実薬群に特徴的な有害事象としては、生殖器マイコプラズマ感染と尿管感染がプラセボ群よりも高頻度だったようでしたが、低血糖はプラセボと差がなかったとのことです。なぜ感染症が増えるのかはわかりませんが、尿に糖が増えることで菌が繁殖しやすい環境になったということでしょうか。

また、それ以外には頻尿の副作用が上げられていると共に他のSGLT2阻害薬では膀胱がんのリスク上昇が懸念されているようです。

開発中の薬について

以下のとおり、大手製薬会社数社が開発しています。どれもフェーズⅢですので、3~5年後には出揃うのではないかと思います。
世界で唯一、2013年4月にカナグリフロジンが米国で承認が得れていますので今後の動向には注視したいです。
イプラグリフロジン:アステラス製薬(承認申請中)
ルセオグリフロジン:大正製薬(フェーズⅢ)
カナグリフロジン:田辺三菱製薬(フェーズⅢ、米国では承認)
トホグリフロジン:サノフィ、中外製薬、興和(フェーズⅢ)
エンパグリフロジン:ベーリンガー(フェーズⅢ)
ダパグリフロジン:アストラゼネカ(フェーズⅢ)

まとめ

糖尿病の治療は2009年を境に大きく変化しております。さらに2013年からはさらに新たしいSGLT2阻害薬が発売されて、これまで以上に治療方法が変わってくるものと思います。ただ、SGLT2はついこの前に米国で発売が承認されたばかりで、膀胱がんへのリスク上昇などが懸念されていますので、発売後の評価には注視したいと思います。個人的には、減量・ダイエットにも効果がありそうなのが気になります。

SGLT2阻害薬の他には、グルコキナーゼ活性化薬、GPR119受容体アゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌促進薬なんていうものもありますので、将来的には糖尿病の治療は今からは想像できないくらい変化しているかもしれません。


次世代の糖尿病薬SGLT2阻害薬」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 7月23日 訪問 | dadadaMSH3

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>