骨粗しょう症とその最新の治療薬について 研修会メモ

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2013年に参加した骨粗しょう症に関連する研修会のメモを箇条書きにて紹介したいと思います。講師の主観的な内容が含まれ、通説と異なる場合がもしかするとあるかもしれませんが、その辺はご容赦ください。

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骨粗しょう症について

  • 日本での患者数は約1300万人で、糖尿病の1100万人よりも多い。
  • 骨密度が低下することで骨が弱くなる病気である。
  • 要介護の原因の9.3%が転倒による骨折で、骨粗しょう症が大きく関わっている。
  • 年齢を重ねると誰でも骨が弱くなるものではなく、歳をとるにつれて急激に骨折しやすくなるのは先進国では日本くらいである。
  • 先進国で骨折が予防できているのは、健診が充実しているのとビスホスホネート系薬剤が使用されてきた結果である。
  • 骨粗しょう症は骨が単に弱くなるだけではなく、感染症や生活習慣病にもかかりやすくなる体となり、結果として生存率が低くなる病気である。

骨粗しょう症の治療について

  • 骨は女性ホルモンが守っている。
  • 女性ホルモンは、投与すれば骨密度は増加するが、乳がんや静脈血栓などの副作用が多いため骨粗しょう症には使用できない。
  • 男性がアロマターゼ阻害薬を服用すると女性ホルモンが減って骨粗しょう症になる。
  • 現在日本で使用可能な治療薬は、ビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、抗RANKL抗体の5種類である。
  • その他、カテプシンK阻害薬、抗スクレロスチン抗体の2種類が現在開発が進んでいる。

①ビスホスホネート

  • 骨吸収阻害、破骨細胞の破壊作用がある。
  • 骨密度、椎体骨折、非椎体骨折、大腿骨近位骨折のいずれに効果がある。
  • フォサマック、ベネットはそれが実証されている。
  • ダイトロネル、リカルボンは、臨床試験がされておらず実証されてはいない。
  • 最低半年は服用しないと効果が分からない。3年服用してみるのがよい。
  • 2年服用して3%骨密度が増加していれば、ビスホスホネートが効いていると言ってよい。
  • 達成できるのは75%くらいである。残りの25%はノンレスポンダーであるが、少しでも改善するのであれば、ずっと継続して服用すべきである。
  • ビスホスホネート自体に顎骨壊死を起こす作用があるわけではない。
  • 最近では顎骨壊死とビスホスホネートとは関係ないと考えられつつある。
  • 顎骨壊死は感染症であるため、免疫が弱くなっている場合や口腔内に傷がある場合になりやすい。
  • 抜歯する際には休薬しなくてもいいと考える医師も多いが、歯科医師からは休薬をすすめられることがある。その場合は歯科医師の意見を尊重して休薬を行う。但し、むやみに抜歯の時期を遅らせないように依頼する。

②選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

  • 女性ホルモン低下による悪影響を推させる働きがある。結果的に骨吸収の抑制作用が期待できる。
  • SERMには女性ホルモン自体を投与することによるリスク(乳がんなど)がない。
  • エビスタでは、椎体骨折を約半分にする効果があるが、非椎体骨折には効果がない。
  • ビビアントでは、椎体骨折はエビスタと同等であるが、非椎体骨折は若干よいと考えられる。
  • 非椎体骨折に効果がある化合物は、女性ホルモンに似てくるため副作用のリスクが高まる。効果と副作用のバランスをとるのが難しい。

③カルシトニン

  • ビスホスホネートと併用しても劇的な効果は期待できない。ビスホスホネートの効果が高すぎるためである。
  • それが併用してはいけない理由にはならず、理論的には併用した方がいいと考えられる

④副甲状腺ホルモン

  • フォルテオは、背骨にはとても強い効果があるが、それ以外には期待できない。

⑤抗RANKL抗体

  • 前破骨細胞が破骨細胞になるのを阻害する薬である。
  • 投与中は破骨細胞になれない前破骨細胞が余るため、薬をやめると一気に破骨細胞が増えて骨密度が減る。
  • そのため、半年に一度注射を打てない患者には使用できない。受診を確約してもらう必要がある。

⑥カテプシンK阻害薬

  • 抗スクレロチン抗体と同様、次世代の骨粗しょう症治療薬として期待されている。
  • 破骨細胞の数を維持しつつ、骨吸収時に蛋白質を分解する破骨細胞中の主要酵素であるカテプシンKを選択的に阻害する作用を有する。
  • この作用により、骨リモデリングのバランスが改善し、骨形成をさせつつ骨吸収を減少させるため、結果的に骨密度を持続的に増加させる。
  • すでにフェーズⅢは終わっているようだが、承認申請には至っていない。開発はMSD社が行っている。
  • フェーズⅢでは、椎体骨密度が52週後で約5%前後増加させる作用が見られた。ビスホスホネートより強力な作用が期待できる。

⑦抗スクレロスチン抗体

  • カテプシンK阻害薬と同様、次世代の骨粗しょう症治療薬として期待されている。
  • スクレロチンは骨形成を阻害する蛋白で、この蛋白に変異を持つ人は骨密度が異常に上昇する作用があるため、それを抑える薬である。
  • 海外ではフェーズⅢが終了しているようである。

参考

月に一回ワンショット静注するだけの骨粗鬆症治療薬 ボンビバ静注
2016年2月現在で最も新しいビスホスホネート系骨粗鬆症治療薬「ボンビバ静注」を紹介します。 発売当初は、なんて画期的な薬だと...