産業薬剤師が解説 一般的な企業で医薬品を購入する方法と注意したい点

労働安全衛生法で企業は怪我などの応急処置に備えて救急箱を準備しておく必要があります。救急箱に入れておく物品は、絆創膏など簡単な処置材も含めて「医薬品」であることが多いです。

>>プロが解説 職場に救急箱を準備するベストな方法

こうした医薬品は薬局やドラッグストアで簡単に購入できる市販薬ですので個人的にお店に行けば簡単に購入することができます。

しかし法人同士の場合は市販薬であっても法律上はそうは簡単に医薬品を売買することはできません。

また救急箱に入れる薬でも市販薬に無くて医療用医薬品で準備したいと考える場合もあるでしょう。また福利厚生の一環として産業医に慢性疾患を薬を会社の中で処方できるような体制を整えたいとお考えの場合もあると思います。

この記事では、医薬品の種類とそれに関わる法律の紹介と企業が医薬品を購入するための方法について紹介したいと思います。

医薬品の種類

医薬品は大きく分けて次の2種類があります。

  • 医療用医薬品:医師の処方が必要
  • 一般用医薬品:医師の処方が不要な市販薬

医薬品を購入する際に関わる法律

どちらも「薬機法」という法律(以前は薬事法と呼ばれていました)をメインに製造から販売に至るまで様々な規制がかけられています。

医療用医薬品と一般用医薬品(以下、市販薬にします)とでは規制の種類が大きく異なりますのでそれぞれを紹介します。

医療用医薬品への規制と入手する方法

医療用医薬品を入手するためには医師の診察を受ける必要があります。基本的には患者が薬を選ぶのではなくて医師が治療のために必要な薬を選ぶことになります。

従って、医療用医薬品は原則として、医師が必要と認めた薬を法律で定められた体制で患者に渡せるように設備や人員が整っている施設しか入手することができません。

そういった施設というのは病院・診療所・調剤薬局のことですから、一般的な企業の場合は医療用医薬品を入手することはできません。

唯一の手段としては会社の中に診療所を開設してしまうという方法があります。診療所を保有していれば、医療用薬品、市販薬のいずれも簡単に医薬品卸から法人として直接入手できる万能的な手法となります。

診療所は医師さえ確保できれば簡単に開設できます。詳しくはお近くの保健所にご相談ください。

市販薬への規制と入手する方法

市販薬は医療用医薬品と違って、医師の処方が無くても個人的に薬局やドラッグストアに行って購入できる薬です。

個人がお店に行けば問題なく購入できるのですが、法人の場合はそうはいきません。それは薬は実態のある個人用のものだからです。

当たり前ですが、何か症状がでるのは架空の人である法人ではなくて実態のある個人です。

実態のある個人の過去の副作用歴やアレルギー歴、症状などを総合的に判断して薬が選択されるわけですから、個人の集まりである法人には適していません。

現実的には総務担当の誰かがドラッグストアに行って薬を購入してきて会社に置いておいて、社員の調子が悪くなったらいつでもその薬を飲んでもいいという体制を整えておくことはできます。

ただ、薬は買いに来た個人に対して販売されたわけですから、第三者が薬のんだ場合に副作用が発生したとすると誰の責任になるのでしょうか。そして補償は?

薬を買いに行った本人が薬の飲んでひどい副作用が行った場合は、厚生労働省の医薬品副作用被害救済制度の適用が受けられる可能性がありますが、第三者の場合は100%適用されません。

その社員がそんな危ない薬を置いておくなんて!と裁判でも起こしたら会社はどうなるのでしょうか。

一方で、医薬品はお店での小売り以外にも卸売業がありますが、この場合は薬機法で規制されていて医療機関ではない法人は、医薬品卸から市販薬を購入することはできません。(仮に購入できたとしても上述のとおり副作用に対する点が気になります)

ということで一般的な企業が救急箱などで市販薬を誰でも使えるようにしておく方法はありますが副作用の面で懸念される方法があります。

なお、上述の診療所を開設してしまえば、医薬品卸から直接市販薬を購入することができます。

この手法で市販薬を準備して職場で使用する場合は、明確な使用基準を定めたり副作用が行った時の対応方法を社員に周知しておく必要があります。例えば使用する前に必ず上司の確認をとる、使用後は必ず診療所を受診するとかです。

まとめ

医薬品は皆さんが思っている以上に規制が厳しく、製造から販売まで厳格に定められています。

医療用医薬品は、医師の診察を受けて医師が必要と認めた場合しか入手することができませんので、会社で医療用医薬品を応急処置として準備しておきたいのであれば会社の中に診療所を開設するしか手段はありません。

医師さえ確保できれば設備要件は厳しくありませんから、保健所にご相談されるといいでしょう。

この方法で市販薬を購入して職場の救急箱に入れていつでも使用できる体制を整えたい場合は、副作用の発生に備えて使用基準や副作用への対応方法などを産業医と定めておく必要があるでしょう。

一方、応急処置用の救急箱程度の市販薬のみを扱いたい場合であれば、市販薬を準備する色々な手段がありますが最もおススメな方法があります。それは、職場救急箱についての記事をご参照ください。

https://industrial-pharmacist.com/?p=12

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