海外出張・旅行者は必見 熱帯・亜熱帯地域の危険な感染症 マラリア編

熱帯・亜熱帯地域に出張・赴任・旅行に行かれる際に注意が必要な感染症がいくつかあります。

このブログの中で、黄熱やデング熱について病態、予防方法、治療方法についてお伝えしていますが、この記事ではそれに加えてマラリアについて紹介したいと思います。

参考

https://industrial-pharmacist.com/?p=474

https://industrial-pharmacist.com/?p=203

マラリアの感染経路

マラリアは、マラリア原虫によって引き起こされる感染症です。

マラリア原虫は、「ハマダラカ」という蚊を媒介して感染します。ちなみにデング熱ウイルスはネッタイシマカ又はヒトスジシマカ、黄熱はネッタイシマカという蚊を媒介して感染します。

マラリア原虫は、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫の4種類の原虫がいて、最も症状が重いのは熱帯熱マラリアで悪性マラリアとも呼ばれます。

さらに最近では5番目の原虫「サル・マラリア原虫」の感染も確認されています。

マラリアの症状

マラリアは感染後に肝臓で増殖します。その後血液の赤血球にも感染を広げそこでも増殖をします。その際に出される有害な物質によって様々な症状が発生します。

感染する原虫にもよりますが、感染してから6日以上の潜伏期を経てから発症します。

症状はどの原虫に感染するかで多少異なりますが、全てに共通するのが発熱であり、熱が治まったり出たりを繰り返します。主な4種類の原虫での症状については次のとおりです。

熱帯熱マラリアの症状

発熱は不定期に出ます。

赤血球が大量に破壊されることによって起こされる重度の貧血、低血圧、血液凝固の病気などが発生します。悪性のマラリアであり、そのような合併症によって死に至らしめる可能性が高い原虫になります。

三日熱マラリア、卵形マラリアの症状

48時間おきに発熱と平熱を繰り返します。その他の症状としては悪寒、頭痛、嘔吐、全身倦怠感になります。比較的軽症なマラリアです。

四日熱マラリアの症状

発熱を繰り返す間隔が三日熱マラリアよりも長だけで、その他の症状としては同じです。

マラリアの治療

マラリアの治療薬は世界では何種類か販売されていますが、国によって承認状況が異なりますので使用できる薬が異なります。

また薬が効かない薬剤耐性のマラリア原虫もいますので、感染した国で使用できる薬を単独又は組み合わせて使用することになるでしょう。

マラリアは医師の監督下でしっかり治療しなければ治癒しませんので、一般用医薬品ではなく病院を受診しなければなりません。初期症状は風邪と似ていますので、流行地域に滞在する方は速やかに病院に行くことも重要です。

日本では長らく、実績はあるけど副作用が多い「メフロキン錠」しか発売されていませんでしたが、2013年には副作用が比較的少ないマラリア薬「マラロン配合錠」が発売されております。

但し、マラロン配合錠は、三日熱マラリアと卵型マラリアへの効果は少し弱く、この薬だけでマラリアが治療できるとも限りません。

追記:2016/7/19
2016/6/17に日本で三日熱マラリアと卵型マラリアの治療薬が発売されました。

商品名は「プリマキン錠15mg「サノフィ」」です。

他の国では以前から使用されていたのですが、日本では発売されておりませんでした。

これで全てのマラリアへの治療薬が揃ったことになります。

マラリアの予防

マラリアのワクチンはまだ開発中のためありませんが治療薬を予防で服用することもできます。また、蚊にさされないようにすることで予防になります。

予防内服

日本では治療薬である「メフロキン錠」と「マラロン配合錠」の2種類が予防薬としても利用できます。

マラロン配合錠の方が安全性が高いため、現在では世界的に予防薬としても治療薬としても使用されている薬です。どちらも病院で診察を受けないと入手できませんので海外渡航に詳しい病院を受診することをオススメします。

その他、健康保険は使用できませんが「ドキシサイクリン」という成分の薬も日本で入手でき予防効果もあります。

追記:2016/7/19
2016年に発売になった「プリマキン錠」は、治療薬としてしか認められておりませんので、予防薬としては使用できません。

参考:マラリアの予防接種について

マラリアの予防接種の開発が進んでいます。

2016年現在ではアフリカで実験的に使用されるかもしれない程度であり、広く普及するまでにはまだまだ時間がかかると思います。開発を進めている製薬会社によると予防効果としては、感染者を約3割減少させるに過ぎないようですので、他の予防と一緒に実施する必要性は高いでしょう。

多くの方が発症し死にいたる地域では3割でもとても大きな意味はありますが、日本にいれば感染することはほぼないので私たちからするともっと予防効果がほしいと考えてしまいますよね。

蚊にさされないようにする工夫

当たり前のことですが次に示す行動をすることで蚊にさされにくくなります。

  • 外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくする
  • 肌の露出した部分には虫除け剤を2~3時間おきに塗布する
  • 宿泊はエアコンのある所にし、窓を開けなくてもいいようにする
  • 電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳を使用する
  • 規則正しい生活と十分な睡眠,栄養をとることで抵抗力をつける

虫除け剤について、アメリカの疾病管理予防センター(CDC)では、虫除け成分としてディート(DEET)やイカリジンを推奨しています。

2016年9月までは日本で販売されている虫除け剤は用量が少なく作用時間が短いのが難点で、日本で購入して持って行くよりも現地で調達する方が良かったのですが、ディート、イカリジンのどちらも高濃度品が2016年9月から発売になっています。

ディートは肌への刺激性がある上に高濃度品だとそれが助長されますから赤ちゃんでも安心して使えるイカリジンの方を準備することをおすすめします。

高濃度イカリジンの詳細は下記リンク記事をご覧ください。

https://industrial-pharmacist.com/?p=2863

まとめ

マラリアは、熱帯・亜熱帯で流行するハマダラカという蚊によって媒介される原虫によって引き起こされる感染症です。

原虫には4種類あり軽症なものから重症なものまであります。いずれも初期症状は風邪と酷似しているので、発生地域に渡航される方はマラリアの可能性を頭の隅に入れておくことをオススメします。

数年経てば予防接種が発売されそうですが効果は弱い可能性が高く、しばらくは予防内服も行えるよう事前準備を行っておきたいものです。

予防の第一は蚊にさされないことで、虫除け剤は、アメリカの公的機関で推奨され肌への刺激性のないイカリジンの高濃度品を準備しておくようにしましょう。

イースト菌、砂糖、水の3つだけで、自作の蚊取り器も作成できますので、家の軒下とかに設置しておくのもいいかもしれません。

https://industrial-pharmacist.com/?p=1021

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