海外赴任者必見!外国の川や湖で泳ぐことで感染する寄生虫

産業薬剤師として活動してきた成果を記す意味も含めて、このブログではこれまでに海外出張・出向・駐在される方に向けて海外で注意すべき感染症についてお伝えしております。

これまでお伝えしてきたものは日常生活を送るだけで誰でも感染しうるものばかりを紹介してきましたが、この記事では特殊な状況下でのみ感染する感染症について紹介します。

以前は日本でも感染する恐れがあったのですが今ではその心配は基本的にはありません。細菌やウイルスではなく、寄生虫の一つについてお伝えしたいと思います。

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注意すべき寄生虫は「住血吸虫」

住血吸虫は、幼虫が含まれる淡水に触れることによって感染します。

住血吸虫は、一生の内に何度も姿を変えます。それぞれに名前がついていて「ミラシジウム」、「スポロシスト」、「セルカリア」と呼ばれます。

「ミラシジウム」の状態でミヤイリガイという貝に寄生し、「スポロシスト」になった後に「セルカリア」へと成熟します。

セルカリアは水中を移動してタンパク質を溶かす酵素を使って、人の皮膚を溶かしながら侵入してきます。

住血吸虫の感染者は、全世界で約2億人もいると言われています。以前は日本国内にも存在していましたが、1996年に終息宣言が発出されています。日本は住血吸虫を絶滅させたとても稀な国と言われています。

汚染された川でのカヌー操作やラフティング等などのちょっとしたことでも感染する可能性があります。

住血吸虫に注意すべき国や地域

次の国や地域は住血吸虫の感染に注意が必要です。

中国揚子江流域、フィリピン、インドネシア、アフリカ、中近東、アフリカ、南米、カリブ海諸国、東南アジア・メコン川下流域

湖、池、川などの淡水で感染する寄生虫です。アフリカなどでは、淡水で泳ぐことはないとは思いますが、タイのメコン川などでは、もしかすると現地の人に混ざって川に入ってしまう場合があるかもしれません。

南米ではテレビで芸能人が川に入っていたりもしますので、多くの方が気にせずに入水してしまうかもしません。

住血吸虫の症状

14日間~84日間の症状のない潜伏期を経た後、発熱、全身倦怠、食欲不振、貧血、下痢、黄疸、腹水貯留が現れます。

幼虫の侵入した数時間~1週間後に発疹などの皮膚炎が現れる場合もあります。

その後慢性化し、下痢、腹痛、血便、血尿、腎臓の障害、肝硬変が現れます。さらに体内で産卵された住血吸虫の卵が脳の血管をつまらせることにより、神経症状が現れることがあります。

膀胱癌、肝癌、直腸癌の原因として報告される場合があったり、心不全症状が見られる場合もあります。

住血吸虫の治療薬

感染した直後であれば、駆虫薬ビルトリシド(一般名:プラジカンテル)が効果があるとされています。

ちなみに2015年にノーベル賞で話題になった「イベルメクチン」は、住血吸虫には効果はないようです。線虫しかもっていない物を攻撃するためです。

感染が広がってしまい慢性期となってしまうと、各症状に対しての治療(対症療法)を行う他ありません。

住血吸虫の予防方法

予防のためのワクチンや薬剤はありません。

流行地では、湖、池、川などの淡水に接触しないことが重要です。適切に塩素が加えられたプールの他、海水の中であれば泳いでも感染することはありません。

まとめ

海外ではウイルスや細菌以外にも寄生虫にも注意が必要です。

流行地での淡水では、カヌーなどちょっとしたアクティビティでも住血吸虫に感染する恐れがあります。慢性期となると生命を脅かす疾患となる可能性がありますので、感染しないように池や川などの淡水には触らないようにしなければいけません。

プールや海水では感染することはありませんので、泳ぐならそのような所にするようにしましょう。

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