医療費抑制に貢献 ジェネリックとバイオシミラーとバイオベター

「ジェネリック」、「バイオシミラー」、「バイオベター」は、いずれも有効成分の特許が切れた医薬品を別の製薬会社が製造承認を得て発売する医薬品という意味では同じですが少しずつ意味合いが異なります。

特にバイオ医薬品は、世界での売り上げ上位の医薬品の約8割を占めますから、これからの時代で主役となること間違え無しあり注目しておく医薬品となります。

この記事ではいずれも特許切れの「後発品」を意味する3種の医薬品についてそれぞれの特徴について紹介します。

ジェネリック医薬品(後発品)

化学合成された医薬品のうち、先発医薬品(先発品)と同一の成分を同一量含有し、先発品と生物学的同等性が認められた医薬品のことになります。化学合成できるレベルの低分子医薬品が該当します。

さまざまな分析機器を利用することで比較的容易に立体的な構造も決定できる化合物になります。

姿・形も先発医薬品と全く同じですので、効果も当然全く同じということがいえます。従って、製造承認を得るために必要な試験も少なく済ませられることができますので、製薬会社の設備も試験に必要な物・人・金も少なく済みます。

ただ、主成分以外に添加物が違っていたり、先発品は錠剤なのに後発品は違う形をしていたりして、効果や副作用にほんの少し差があるかもしれません。

この差は悪い意味の差ではなく、後発品メーカ独特の改良が加えられて先発品よりも良いことがある医薬品もあります。例えば味がいいとか、他の薬と混ぜてもいいとかです。

それでいてジェネリック医薬品の価格は、先発品の5割に設定されますので、安価に治療を受けることもできます。

バイオシミラー(Bio-similar)

化学合成できるような簡単な構造の医薬品ではなく、非常に複雑な構造をしているため細菌などの生物を利用して製造する医薬品(バイオ医薬品)の後発品のことです。

後述しますが、バイオ医薬品の場合は先発品と全く同じ医薬品を製造することはできません。なのでバイオ医薬品の場合は、「後発品」とは言わずに「後続品」と呼ばれます。

バイオ医薬品は、インスリンなどの生理活性のあるタンパク質をヒト由来の遺伝子を組み込んだ細菌などで大量に生産した医薬品です。

化学合成された医薬品に比較すると分子量はとてつもなく大きく、なおかつ立体的に非常に複雑なため、タンパク質を構成するアミノ酸配列が全て分かったとしても、完全な立体的な構造や体内での動きを同定するのは非常に困難です。

例えばアスピリンの分子量は180ですが、乳がん治療剤ハーセプチンは148000ですから、アスピリンの体重を60kgとするとハーセプチンは50tにもなることから、とてつもない差であることが分かっていただけると思います。

また、先発品の特許が切れたからといって製造方法まで何もかも公開されるわけではありませんので、バイオ医薬品の後続品を製造しようとする製薬会社は、その製法を自分たちで確立しなければいけません。

従って、全く同じ製法でないため目的とするタンパク質が無事製造できたとしても、その他に先発品には無い微生物固有の不純物を含有してしまうことがあるので、ジェネリック医薬品と違ってバイオ医薬品は先発品と全く同じ成分すら製造することができません。

そのためバイオ医薬品は、①構成成分が完全に均一でない、②有効成分を厳密に限定できない、③不純物の混入の可能性を否定できないという特徴を持ち合わせているのです。

これらのことから、バイオ医薬品の後続品は、バイオ類似品=バイオシミラー(bio-similar)と呼ばれるのです。

当然「類似品」ですから、バイオシミラーを発売するためには、ジェネリック医薬品のように少しの試験だけで製造承認は得られず、多くの非臨床試験の他にヒトでの試験である「治験」を実施するのが通常です。

バイオベター(Bio-better)

「安全性や有効性を改良しつつも物性を劇的に変更していない生物製剤」とされています。

先発のバイオ医薬品の製造方法に改良を加えることで、有効成分にも改良がなされてよりよい体内動態にしたバイオシミラーのことです。例えば、投与量を極端に少なくことができるとか、効果が劇的にあがる/副作用が劇的に少なくなるとかです。

ただ、バイオベターは、後続品扱いではなく新薬扱いになってしまいますので、製造承認には新薬と同じ規模の負担がかかります。

バイオ医薬品のこれから

バイオ医薬品の売上額は年々増加しており、2014年の世界での売上上位10位までに8品目がランクインしています。

また、「医療界の2015年問題」ともいわれていますが、2015年には多くのバイオ医薬品の特許切れを迎えます。バイオシミラーはまだ世界でもほんの少ししか承認されていませんが、今後はどんどん増えてくるのは間違えないと考えます。

ただ、バイオ医薬品は製造に極めて高い技術を必要としますから、これまでにノウハウがある会社や規模の大きい会社からしか発売されることはないでしょう。逆にこれは変な会社からは発売されないという安心する材料かもですが。

まとめ

医薬品の特許が切れた後に発売される後発品には、ジェネリック、バイオシミラー、バイオベターがあります。

医療費抑制が重要課題となっている現代においては、これらの医薬品が大変重要となりますし、費用が高額になりがちなバイオ医薬品はジェネリック同様にバイオシミラーに置き換わっていく時代がくるものと考えます。

バイオシミラー、バイオベターでは、ヒトでの試験である「治験」を行うことが多くなりますし、ジェネリックでも営業戦略としてヒトでの試験を行う事例が多くなっています。

日本の社会課題である医療費抑制のためにまずできることとして「治験ボランティア」への参加という方法があります。

参考

https://industrial-pharmacist.com/?p=1681

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