薬剤師がアスリートからのドーピングの質問にバッチリ回答する方法を経験豊富なスポーツファーマシストが解説

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薬剤師なら一度や二度は受けたことがあるはず。

アスリート又はその家族から「この薬ってドーピング違反になりませんか?」

さぁあなたはすぐに自信をもって回答できますか?

ドーピングに関する知識を身に着けたスポーツファーマシストでも初めて相談を受けた場合は戸惑うのではないでしょうか。

副作用への注意喚起など通常の薬剤師業務に加えて、大学で勉強してこなかったドーピング違反であるかを答えなければいけません。しかも下手なことを言ったら相談者の選手生命が終わることだってあり得ます。

そんな重要な場面で、アスリートからドーピングの質問を幾度となく回答しているスポーツファーマシストがどのような順序・方法でドーピング禁止物質かどうかを判断しているのか教えましょう。

この記事は主に薬剤師向けですが、アスリートやその家族の方も同じように対応できると思います。ぜひ参考にしてみてください。

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まずは「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」を見よう

日本薬剤師会が公開している『薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック』がまず最初に確認するのに最も役立ちます。

世界アンチドーピング機構が定めるドーピングの「禁止表」には、ドーピング違反となる物質が掲載されているのですが、薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックはその逆で服用してもいい薬が掲載されています。

このページからアクセスし、印刷して手元に置いておくことも重要ですが、検索しやすいようにPDFですぐに開けるようにしておくといいでしょう。

何より素晴らしいのは、市販薬まで網羅されているところです。

しかしながら残念なのは、ドーピング禁止物質が適用されるのが毎年1月1日にも関わらず、薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックは夏ごろまで公開されないところです。

実際にこの記事は2017年5月23日に作成していますが、2017年版のガイドブックはまだ公開されていません。

また、ジェネリック医薬品など有名どころの医薬品以外は掲載されていないため、ジェネリック医薬品全盛の今ではもしかすると使えない場合は多いかもしれません、

昨日まではドーピング違反でなかった薬が今日から違反になるということもあり得る世界ですから常に最新版で調べる必要があります。

なので、最新のガイドブックが公開されていない場合やガイドブックからは判断できない場合は次の方法をご確認ください。

次に日本体育協会の使用可能薬リストで確認

薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックより早く公開されるので、使用できる期間が長いのが特徴です。

ですが、市販薬も掲載されているもののハンドブック形式のため掲載量が少ないのが残念なところです。

日本体育協会の使用可能薬リストはこちらで確認できます。

最後にglobal DROで検索だ!

global DROは、アメリカ、カナダ、イギリス、日本のアンチドーピング機構が共同で運営しているドーピング禁止物質かどうかが検索できるウェブサイトです。

以前は、メジャーな医療用医薬品、市販薬でしか検索できないため、ほとんどヒットしなかったのですが、2015年に大幅に改良されて多くの医薬品が商品名や一般名で検索できるようになっています。

また、日本以外にでも共同で運営している国で発売されている医薬品も調べることができ、日本語にも英語にも対応しています。

「市場に出る新製品のデータを時宜に即して追加するよう、あらゆる努力がなされています。」と頼もしい言葉が掲載されていますが、例えばロキソニンのジェネリック医薬品である「ロブ」を検索してみましたがヒットしませんでしたので、まだまだ改良の余地は高そうです。

Global DROの使い方

①調べている人、競技、国、調べたい物質を入力

今回は、薬剤師であるスポーツファーマシストが、アメフトの競技で、日本にて、プレドニゾロンを服用したい場合を調べてみます。

dro kensaku

②該当する商品名又は成分名を選択

プレドニゾロンは、製品名でもありますし成分名でもありますから複数候補がヒットします。今回は一番上を選択してみます。

kensaku kekka

③禁止かどうかをチェック

ステロイドであるプレドニゾロンは2016年現在では、内服・静脈注射・筋肉注射は禁止ですが関節内注射など局所利用なら禁止されないことが分かります。

dro shousai1

④検索結果をPDFで保存・印刷したり、誰かにEmailが送付可能

もしドーピング違反を指摘されても事前にこのサイトで検索したという証拠を保存しておくことができますし、この検索結果を利用して誰かにEmailで聞くこもできます。

dro shousai2

<参考>試しにEmailを送るとこんな感じ

上記④の「Emailを送付」を選択すると入力画面が表示されます。自分のEmailアドレス、送りたい相手のEmailアドレスと聞きたい内容を入力して送信します。

dro email

そうすると相手には、検索した結果をPDFにしたものが添付されてEmailが届きます。検索結果には検索した日時まで表示されていますから、確実に検索したことが分かります。

dro email1

ドーピング禁止物質検索のリーサルウェポン!

global DROまで使って調査できなかった場合の最終兵器があります。

それは都道府県薬剤師会に聞いてしまうということです。

都道府県薬剤会にはドーピング防止ホットラインが設置されていて困った時は尋ねることができます。

薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックにも都道府県薬剤師会への問い合わせ先や問い合わせFAX用のテンプレートも用意されていますので参考にしてみてください。

でも先方は人力で調べることになりますので、むやみやたらに聞いては迷惑になります。これまでに紹介した3つの方法を試して、それでもわからない場合だけにしましょう。

まとめ

東京オリンピックを3年後にひかえ、日本でのドーピング需要は高まるのではないでしょうか。

薬局でドーピング禁止薬かどうかを聞かれた際に、サクッと答えられる薬剤師が一人でも多くなってほしいと思い、私が普段行っている検索方法を紹介しました。

日常の薬局業務にお役立ていただければ幸いです。

アスリートご本人やご家族、チーム関係者の方もこの記事で紹介した方法で薬剤師と同じように確認できますが、念のためお近くのスポーツファーマシストを通じて確認した方がさらに安心です。

お近くのスポーツファーマシストの検索はこちらのウェブサイトからできます。