海外から日本への薬の持ち込み・個人輸入に注意!グローバル企業の薬剤師が解説

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前回の記事では、持病の薬や市販薬を海外に持って行く際に注意しなければいけないことを紹介しました。

何も準備せずに外国に薬を持って行くと没収されることもありますし、場合によっては逮捕や拘留なんてことも!

楽しい旅行やスケジュールびっしりの海外出張の初っ端でそんな目にあいたくありませんよね。

外国に行く前には必ず読んでおきたい記事です。

そしてこの記事では、逆に外国に旅行や出張などで行き、現地で薬を購入して日本に持って帰る時日本から海外に薬を持ち出して残った薬を日本に持ち込む時について紹介します。

グローバル企業では、海外法人の従業員が日本に出張や駐在する際の注意点にもなります。

また、薬を個人輸入する時も同じ点に注意が必要です。

日本に薬を持って帰る時に注意すべき点

外国に薬を持って行く際の注意点を書いた記事で紹介したとおり、国によって薬物の規制が違うところに注意しなければいけません。

具体的に見ていきましょう。

注意すべき点が分かりやすいADHD(注意欠如・多動症)の治療薬で解説します

発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)治療薬が、分かりやすいので例として紹介します。

アメリカでは、ADHDの治療に「アンフェタミン」という成分の薬を使うことがあります。

日本では、「アンフェタミン」は覚せい剤に該当。

病気の治療だろうが、どんな理由があろうが、日本国内でアンフェタミンを持っていると逮捕されてしまいます。

しかし、アメリカでは治療薬として認められているため、医師からきちんと処方された薬で、治療に使う目的であることが証明できれば持っていても実際に服用しても全く問題ありません。

病気の治療用でもダメなの?と思うかもしれませんが、日本の法律がそうなっているから仕方ありません。

実際にアメリカ人がADHD治療のためにアンフェタミンを含む薬を日本に持ってきて逮捕された事例もあります。

ADHDで治療中の人が日本に来ることになった時の対応方法はどうする?

アメリカで、アンフェタミンでADHDの治療をしている人が日本に来る時は、残念ながら日本に持ち込むことができる他の治療薬へと事前に変更しておく必要があります。

繰り返しになりますが、日本ではどんな理由があろうとも日本国内でアンフェタミンを所持することはできないからです。

大麻でも同じことが言えます。

大麻が合法な国や医療用大麻なら使用できる国があります。

しか日本では大麻は、覚せい剤と同じく服用どころか持っていることすらできないため、大麻を日本には一切持ち込むことができません。

同じ成分でもその薬の規制は国によってバラバラですから、必ず自分が行く先の国の規制を確認して、問題にならないようにする必要があるのです。

例え治療用だとしても。

日本への薬を持ち込む際、日本の規制を確認する方法

日本へ薬をどのように持ってきたらいいかは、厚生労働省ホームページにとても細かく掲載されています。

こんなに記載しているのは私の知る範囲では日本が唯一です。

さすが日本って感じです。

規制の内容については後で詳しく紹介します。

薬を持ち込む際の規制は渡航先の規制が適用されます

これも繰り返しになりますが、重要ですのでもう1回言います。

薬の規制は渡航先の規制が適用されます。渡航前の国の規制ではありません。

「毒薬」とか「劇薬」とか「処方薬」といった薬の分類は、日本での分類です。

外国では「普通薬」でも日本では「毒薬」なら、厚生労働省ホームページの中の「毒薬」の項の内容を守らなければいけません。

日本では医療用の薬でも外国では市販薬で販売されているケースもあって結構複雑です。

日本に持ち込もうとする薬が普通薬なのか毒薬なのかなんて薬剤師でも簡単には分かりませんから、厚労省ホームページに問い合わせ先が掲載されている「厚生局」に尋ねてしまった方が早いです。

持ち込もうとする薬の日本での分類を自分で確認する方法

厚生局に尋ねちゃった方が早いですが、自分で調べる方法もあります。

それは日本の医療用医薬品(医師が処方する薬)の説明書が検索できる医薬品医療機器総合機構のウェブサイトで確認する方法です。

普通薬、毒薬、劇薬、向精神薬、麻薬のどの区分に分類されるかが自分で調べられます。

薬の名前を入力

では、例として高血圧の薬「ノルバスク」がどういった薬が調べます。

検索窓に「ノルバスク」と入力して「検索実行」ボタンを押してください。
kensaku

該当する薬を選択

検索結果が右側に出てきますから該当する薬を選択してください。
kekka

規制を確認

左側のメニューの中から「規制区分」をクリックしてださい。そうすると右側に規制区分が表示されます。

ご覧いただいているとおり、ノルバスクは「劇薬」であることが判明しました。
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外国で処方された薬を調べる方法

海外赴任者など外国で暮らしていて、現地の医師から薬を処方されている方は、まず日本語の名称を調べないといけません。

例えば、高血圧で「amlodipine」という薬を日本に持ってきたいとします。

googleで「amlodipine 日本語」と入力して検索すれば、「アムロジピン」という名称であることが分かります。

あとは、アムロジピンを医薬品医療機器総合機構のウェブサイトで検索してください。

ちなみにアムロジピンは、ノルバスクの別名称のことですんで、規制区分は「劇薬」です。

日本に薬を持込む時の規制の中身は?

医師の処方が必要な内服薬

1か月分まで事前許可は不要で、それ以上の場合は厚生局の事前許可が必要です。

例えば、1日3回1回1錠服用する処方薬の場合は、事前許可なく持ち込める量は90錠以内となります。

但し、医療用麻薬は量に関係なく事前許可が必要、睡眠薬などの向精神薬は処方箋の写しが必要です。

医師の処方が不要な市販の内服薬

2か月分まで事前許可は不要で、それ以上の場合は厚生局の事前許可が必要です。

例えば、1日3回1回1錠服用する市販薬の場合は、事前許可なく持ち込める量は180錠以内となります。

それを箱に入っている薬の数で割って持ち込める箱数を計算してください。

医師の処方が必要な外用薬

1か月分まで事前許可は不要で、それ以上の場合は厚生局の事前許可が必要です。

例えば、1日1回1回1枚服用する貼り薬の処方薬の場合は、事前許可なく持ち込める量は30枚以内となります。

但し、外用薬で医療用麻薬や向精神薬に該当する薬は、内服薬と同じ対応が必要です。

医師の処方が不要な市販の外用薬

箱数で24個まで事前許可は不要で、それ以上の場合は厚生局の事前許可が必要です。

24箱がどういった理由なのかは不明です・・・。

まとめ

外国に薬を持っていく時も日本に薬を持って帰る時も規制を確認しなければいけません。

結局、国を越えて医薬品を移動させる場合はいつでも注意しましょうということ。

海外に持って行く薬を必要最低限にすれば、悩むケースは少ないはずです。

必要以上に持って行かないことが重要。

外国で年単位で暮らす場合は、大量に薬を持って行きたくなる気持ちは分かります。

しかし、いつどのように体調が悪くなるか分かりませんから薬を大量にあらかじめ用意しておくのではなくて、こちらのサイトなどですぐに受診できる安全そうな医療機関を健康な内に探しておこう。

yahoo知恵袋などの回答で、「ある国に行きたいけど薬は持っていけますか?」という問いに「どれだけでも持ち込めます」とかという回答を見ることがあります。

というかほとんどの回答がそうです。

現実的に問題のある持ち込み方をしていても入国時に気づかれて止められるケースは少なく、結果として知恵袋の回答が合っていることがほとんどだとは思います。

しかし本当はそうではないことを知っておいてください。

知恵袋の回答はあくまで私見ですので信用しすぎてはいけません。

自分で責任をもって確認するようにしていきましょう。

薬を没収されたり、拘留や逮捕されて困るのはあなたですから。

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