2016年3月までに発売されていた虫よけスプレーは、「ディート:DEET」という成分が配合されているものか、ユーカリ油などの植物由来のハーブ系のものしかありませんでした。
ディートは蚊の虫よけ剤としてアメリカの疾病予防対策センター(CDC)から推奨されている成分で高い効果が得られる成分です。
ただ、石油扱いの成分ですのでプラスチックや一部繊維を溶かしてしまったり皮膚への刺激が強く、肌が弱い方や子供への使用には注意が必要です。
そこに2016年3月に新発売されたのが新しい虫よけ成分「イカリジン」を配合した虫よけです。
イカリジンもCDCが推奨している成分である上に日本のメーカーが行った効果を確かめる実験で、ディートと同等の効果があることが検証できました。
イカリジンの長所はディートの短所であった皮膚への刺激性がないということです。
そのためイカリジンは赤ちゃんにも使用できることがウリの一つになっています。
じゃあこの2つがあれば虫よけは完璧だね!ということではないのが残念なところです。
それは日本で発売されているディートかイカリジンを含む虫よけスプレーは、外国で使用されている量の1/3程度しか入っていないために虫よけ効果の持続時間が短いという欠点があるところです。
この問題を解決する作戦が2016年6月15日に厚生労働省から発表されました。
この記事では、厚生労働省が発表した内容とこうした対応が必要になった理由を紹介し、これから虫よけを何を選べばいいかを紹介します。
目次
発表内容は強力な虫よけスプレーを優先的に審査すること
厚生労働省が発表した内容の概要は次のとおりです。
全文をご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。
日本で主に使われているディートの濃度は10~12%でイカリジンは5%ですが、外国ではそれぞれ3倍量が標準的な配合量です。
「外国と同じ3倍量に増量した虫よけスプレーを早く開発してください。」「そうしたらすぐに審査しますから。」と厚生労働省が言っています。
ちなみに10%ディートと5%イカリジンの虫よけ効果は同等ですので、30%ディートと15%イカリジンも同等の効果であると予測できます。
まずアース製薬が強力な虫よけスプレーを開発すると宣言
厚生労働省の発表を受けて、アース製薬では30%ディートを含む虫よけスプレーを開発することをホームページで発表しています。
フマキラーやライオンといった虫よけスプレーを発売している会社ではそのような発表はしていませんが、厚生労働省の審査期間は「待ち」の状態のためもったいない時間になります。
審査期間は少しでも短いにこしたことはありませんから、このチャンスを逃すはずがありません。
ちなみに医薬品の審査期間は、1年から1年半くらいかかりますので、2~3か月で審査してもらえるとなると驚異的なスピードです。
つぎにフマキラーが2つの成分で強力な虫よけスプレーを開発すると宣言
フマキラーも2016年6月27日高濃度の強力虫よけスプレーの開発を発表しました。
アース製薬と違って、ディートとイカリジンの両方で高濃度虫除けスプレーを開発中とのこと。
私は「天使のスキンベープ」でイカリジンがすっかりお気に入りになっていますから、イカリジン15%配合の強力虫除けスプレーに期待しまくりです。
30%ディート、15%イカリジン配合の虫よけが必要な理由
実験室で確かめた虫よけ効果の持続時間は、イカリジンがだいたい6時間くらい、ディートが5時間くらいです。
しかし、現実的には使用する主な時期は夏なので、汗をたくさんかきますから虫よけ成分も洗い流されてどちらも2時間くらいしか持たないとされています。
これまで日本では蚊にさされても「かゆい」くらいしか悪影響はありませんが、外国では命のかかわる「デング熱」、「ジカ熱」、「マラリヤ」、「黄熱」などの病気が蚊を介して感染するリスクがあるんです。
特にデング熱は、日本国内でも流行するようになってしまいました。
飛行機などの交通網が発達していますから、こうした感染症はあっという間に世界に広まってしまい、日本でもデング熱以外にも蚊から感染する病気の広がりが心配されます。
こうしたことから蚊は、かゆみを与えるイヤな虫くらいの存在ではなくて命を危険にする怖い存在であるため、より強力な虫よけが必要ということです。
世界でみると蚊は1年間に70万人も命をうばう
下の図を見たことがありますでしょうか。
蚊は地球上のどの生物よりも人の命を奪う生き物です。
直接的に命を奪うのではなくて、上記のとおり感染症を引き起こすためです。
たかが虫よけスプレーですが、こうして見るとその重要性が高いのが実感できますよね。
出典:www.statista.com
高濃度の虫よけの効果や副作用
有効成分を3倍にすれば3倍蚊を寄せつけないわけではありません。
効果の強弱よりかは、作用時間の方が濃度の影響を受けやすくて効く時間が長くなります。
怖い病気を持っている蚊がウヨウヨいる場所には、より長く効く虫よけを使いたいですよね。
また、副作用の面ではどうでしょうか。
残念ながら成分量が増えればそれだけ副作用のリスクが増します。
ディートは皮膚への刺激性がありますから3倍量になったディートを使用する時には、皮膚炎やアレルギーに注意が必要となります。
実際に発売になっている30%ディートは、小学生以下には使うことはできません。
一方で、イカリジンはこれといって副作用で注意が必要な成分ではありませんから、3倍になっても安心して使えます。
強力な虫よけが日本で発売された理由のまとめ
2016年までは、虫よけと言えば成分が少ししか入っていないマイルドな虫よけしかありませんでした。
しかし、2018年ではさまざまな会社から15%イカリジンと30%ディートの高濃度成分を配合する虫よけが発売になっています。
虫よけは、庭の手入れ・バーベキューなどの普段の生活から使いますし、キャンプは山登りなど自然豊かな所に行く時は必須アイテムです。
日本では蚊は刺されても「かゆい」くらいの存在ですが、世界でみれば命に関わる病気を感染させる虫。
温暖化の影響からかデング熱も日本国内で流行するようになり、今後さらにキケンな病気も流行る可能性も。
そのため、日ごろから蚊にさされず病気の予防ができるように日本でも高濃度の虫よけが発売になっています。
そうなると虫よけの2大成分のイカリジンとディートをどのように使い分ければいいのかが気になるところ。
それは次の記事で詳しく紹介しているんで絶対にチェックしていってくださいね。
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