尿のトラブルには、トイレに頻繁に行く「頻尿」、トイレに間に合わずにもれる「失禁」、尿が残る感じがある「残尿感」、トイレに行ってもなかなか尿が出ない「排尿困難」、尿をする時に痛い「排尿痛」などがあります。
原因はいくつかあり薬を適切に選択できれば市販薬でも症状をコントロールできる病気・症状です。
ですが、男性に多い、女性に多い、高年齢者に多いなど性別や年齢によって主な原因はさまざま。
尿のトラブルを起こす主な原因別にそれぞれの症状に効くオススメの市販薬をこれから紹介しています。
目次
尿のトラブルを起こす原因・病気
頻尿、失禁、残尿感、排尿困難、排尿痛といった尿トラブルを引き起こす主な原因は、次の4つの病気です。
どの病気も同じような症状が現れますが、特徴的な症状があったり性別や年齢で発生しやすさがあります。
病気の名前 | 主な症状 | 起こりやすい人 |
前立腺肥大症 | トイレが近い、尿が残る 尿が出にくい など |
50歳以上の男性 (男性のみの病気) |
過活動膀胱 | 急にトイレに行きたくなる 間に合わずもれる |
40歳代以上の男女 特に女性に多い |
神経因性膀胱 | トイレ近い、尿が出にくい 間に合わずもれる |
誰にでも起こる 神経に影響する病気後が多い |
膀胱炎、尿路感染 | トイレが近い 排尿時に痛い |
誰にでも起こる 女性に多い |
では、順番にどのような病気かの詳細とそれぞれに効果的なオススメ市販薬を解説していきます。
前立腺肥大症の詳細とオススメの市販薬
前立腺肥大症とは?
男性だけが持つ「前立腺」に生じる良性の腫瘍です。前立腺が腫れあがり大きくなる病気です。
腫瘍と言ってガンではありませんし、放置しておいてもガンになることはありません。前立腺ガンとは全く別物です。
男性であれば加齢と共に誰でもなる病気であり、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%の方がなるとされています。
前立腺の間を尿管が通っているため、前立腺肥大となると物理的に尿管を狭めてしまいます。
そうすると尿をするのが難しくなったり膀胱に溜まっている尿を全部出せないために起こる「残尿」、それに伴ってトイレが近くなる「頻尿」やトイレに間に合わずモレてしまう「失禁」が起こります。
根本的に治療するためには肥大してしまった前立腺を手術で取ってしまうか、薬で小さくすることが必要です。
前立腺肥大症にオススメの市販薬
残念ながら肥大した前立腺を小さくする市販薬はないので、オススメ市販薬はありません。
しかし、前立腺を小さくする作用がある病院で使う薬「フィナステリド」※の起源となる成分を含んだ植物のサプリメントはあります。
※フィナステリドは、日本では男性型脱毛症の治療薬でしか使用されていませんが、外国では前立腺肥大症治療薬としても使用されています
ヨーロッパではこの植物自体もハーブ医薬品として、病院で医師が処方する薬として使用されていますから効果に期待できます。
ということで、前立腺肥大症のオススメ市販薬の代わりとして、サプリメントの「ノコギリヤシ」をオススメします。
なお、大きくなった前立腺を小さくするのは簡単なことではありませんから数か月の長期的な摂取が必要です。
過活動膀胱の詳細とオススメの市販薬
過活動膀胱とは?
名前の通り、膀胱の動きが活発になっている状態・症状のことを言います。
自分の意志とは関係なく膀胱が収縮してしまうので、急にトイレに行きたくなる「頻尿」、トイレが間に合わない「失禁」が主な症状です。
中年以降は誰もがなる可能性がありますが、女性の尿のトラブルの多くはこの病気です。
男性の場合は先ほど解説した前立腺肥大症にもかかっていることがあります。
その場合にはこの病気に効果的な薬「抗コリン薬」を服用すると逆に症状を悪くなってしまうので注意が必要です。
ということで、過活動膀胱のオススメ市販薬は男性と女性とで異なります。
男性向けの過活動膀胱のオススメ市販薬
漢方薬の「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を最もオススメします。
膀胱がいっぱいになる感じを抑えることで、トレイが近い頻尿、尿が出にくい排尿困難に効果を発揮する薬です。
過活動膀胱の時にまず飲むべき漢方薬として扱われていることがオススメする理由です。
漢方薬は基本的には食前や食間に服用するのですが、八味地黄丸は胃腸に負担がかかりやすいので、胃腸が弱い方は食後に飲んでくださいね。
女性向けの過活動膀胱のオススメ市販薬
「レディガード コーワ」を最もオススメします。
医師が過活動膀胱の治療で処方す「ブラダロン」と同成分である「フルボキサート」が配合されている市販薬であることが理由です。
フルボキサートは膀胱の動きを弱める抗コリン作用があるため過活動膀胱にまず使用される薬です。
この薬を男性が服用しても問題はありませんが、頻尿の原因が前立腺肥大症だった場合には逆に悪化することがあるので要注意。
頻尿の原因が前立腺肥大症なのか過活動膀胱なのかを判断するのは、専門の医師以外には難しいのでこの薬は女性専用薬となっています。
この薬で効果がなければ、男性向けにオススメしている八味地黄丸を試してみてください。
神経因性膀胱の詳細とオススメの市販薬
神経因性膀胱とは?
膀胱の動きに影響を与える神経が何らかの原因で正常に働かなくなってしまっている病気です。
なので、症状は過活動膀胱と似ていて、急にトイレに行きたくなる「頻尿」、トイレが間に合わない「失禁」などがです。
ヘルニアとか盲腸とか神経に影響を及ぼす病気が原因で発症してしまいます。
神経因性膀胱のオススメ市販薬
「ユリナールb」を最もオススメします。
症状が過活動膀胱に似ているため、同じ薬が神経因性膀胱にも効きますが、漢方薬の「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」は神経に効く作用をもっているので効果です。
不安感やイライラ感のある精神的な頻尿にも効果ありです。
膀胱炎、尿路感染の詳細とオススメの市販薬
膀胱炎、尿路感染とは?
膀胱炎や尿路感染は女性に多い病気です。
尿道から侵入する大腸菌などの細菌が原因で起こります。女性は尿道が短く細菌が膀胱に侵入しやすいのが理由です。
膀胱炎・尿路感染症の主な症状は次のとおりです。
- トイレがすごく近い(1日10回以上)
- 排尿時に痛い
- 排尿後もまだ尿が残っている感じがする(残尿感)
- 尿の色が白いまたは赤い
2009年に法律(薬事法:現在は「薬機法」)が改正されるまでは、「ナリジクス酸」という抗生物質が市販薬として販売されていたのですが、現在では法律で規制されているため販売されていません。(病院で使う医療用医薬品としても2017年11月末で日本では販売中止が決まっています)
膀胱炎、尿路感染のオススメ市販薬
「腎仙散」を最もオススメします。
漢方薬は体質を改善させて免疫力を高める作用が期待できる場合がありますし、漢方薬に配合されている生薬によっては、殺菌作用も期待できることも。
免疫力を高め殺菌作用も期待でき、さらに尿の排泄を促す効果によって膀胱炎を治療できるのが漢方薬の「腎仙散」です。
腎仙散を3日服用しても全く改善されない場合は、膀胱炎でない可能性や強力な細菌に感染しているおそれがあります。速やかに泌尿器科を受診するようにしましょう。
セルフメディケーション税制の対象品
市販薬を購入すると税金が安くなる「セルフメディケーション税制」という制度が2017年1月から始まりました。
対象になる市販薬は「○」、対象にならない市販薬は「×」で示します。
市販薬名 | 対象 |
八味地黄丸 | × |
レディガード コーワ | ○ |
ユリナールb | × |
腎仙散 | × |
※2017年10月時点
まとめ
頻尿、排尿困難、排尿痛などの尿トラブルには、さまざまな病気が原因となっています。
男性で年配の方は「前立腺肥大症」が最も疑われますし、女性では「過活動膀胱」が最も疑われます。
またヘルニアなどの他の病気を持っている方は「神経因性膀胱」もあり得ますし、女性では排尿時に痛い「膀胱炎」にかかりやすいです。
それぞれに効果的な薬が異なりますから病気に合った市販薬を選択する必要があります。
膀胱炎以外では、薬の服用は長期間になりますから1~2か月は少なくとも服用を継続しましょう。
尿トラブル以外の他の薬効でのおすすめ市販薬は次のリンクか、画面上部のメニューボタンからどうぞ。
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