ノロウイルスの効果的な消毒・予防・治療方法を薬剤師が解説【エタノールも効果あり!】

毎年冬になると流行する感染症の一つノロウイルス

2016年12月では新型ウイルスが発生し、全国の幼稚園や小学校で休校が相次ぐほど大流行しました。

ノロウイルスにやられると腹痛、吐き気、下痢と消化器系の症状が強くてとてもつらいですよね。

ご飯は全く食べれませんし、突然こみ上げてきて、時に「マーライオン」のごとくなり、トイレとお友達になってしまうとてもイヤな病気です。

小さい子供においては寝ている間に発症して布団を汚してしまうなんてケースもあって、命に関わるような重症になるリスクはあまりないものの本人のみならず家族や周りの方の肉体的、精神的に大きな影響を与えてしまいます。

感染力が強いし、ウイルス自体に効く特効薬はありませんから、日々の感染予防と適切な汚物処理を行って感染拡大防止に努めることがめちゃくちゃ重要。

そこでこの記事では、ノロウイルスに少しでも感染しないようにする予防方法、そして感染してしまった後の治療・対処方法を薬剤師の観点で紹介します。

ノロウイルスの感染予防の基本は、「手洗い・うがい」

ノロウイルスに限らず、感染症予防の基本は「手洗い・うがい」です。

風邪やインフルエンザの予防と同じことが、ノロウイルス予防にもそのまま使用できますので、詳細は下記リンクの記事をごらんください。

家族・同僚や親しい知人がノロウイルスにやられている時の感染予防する方法

近しい方がノロウイルスにかかっている場合、いわゆる「濃厚接触者」の場合でも手洗いとうがいをきちんと行うことで十分感染予防できます。

ですが、さらに徹底した感染予防をしたい場合には、消毒剤も追加するといいでしょう。

ノロウイルスに効果的な消毒剤は、強い作用を持つ「次亜塩素酸ナトリウム」です。

でも次亜塩素酸ナトリウムは人間の皮膚をも溶かすほど強力ですから手に直接使うことはできません。

そこで手の消毒剤と言ったらまず最初に思い浮かぶ「消毒用エタノール」が使えます。

ノロウイルスにはエタノールは全く効かないと考えられてきましたが、最近ではエタノールもノロウイルスにある程度は効くことが分かってきています。

エタノールがノロウイルスに効果があることは、アルコール協会が策定しているガイドラインで解説されています。

少し難しい内容を含みますが興味があれば読んでみてください。

単なる協会のガイドラインというと宣伝のように思えますが、このガイドラインを受けて厚生労働省がノロウイルスへの対応方法を変更していますので信頼性は高いと考えます。

ただ、ノロウイルスの構造から考えるとエタノールは効きづらいので、エタノールで消毒しただけで満足しないようにしましょう。

石鹸を使った十分な手洗いをした上での追加や補助として、エタノールを使用したらより安心!くらいに思っておくといいでしょう。

最近ではクエン酸などの酸を加えてノロウイルスへの殺菌効果を高めたエタノール製剤も発売されていますのでオススメです。

ただ、「ノロパンチ」などのスプレータイプは、スプレーの勢いでウイルスを舞い上がらせてしまいますので、そぉっと使えるジェルタイプにしてくださいね。

ノロウイルスで吐いてしまったモノの処理方法や感染予防の方法

嘔吐物にはノロウイルスが大量に含まれているので、嘔吐物を片付ける際に処理者が感染しないようにマスクなどの装備をきっちりとすることと消毒剤を使って嘔吐物内のウイルスを確実に退治することが必要です。

この場合の消毒剤は、強力な「次亜塩素酸ナトリウム」にしてください。

次亜塩素酸ナトリウムは、塩素系漂白剤で「キッチンハイター」「カビキラー」などの成分です。

ノロウイルス用に専用品を購入することはありません。

家にある次亜塩素酸ナトリウムが使えます。

感染予防の装備品は、次のものを用意しましょう。

嘔吐物の処理に必要なグッズ

  • 不織布マスク(インフルエンザ予防のやつ)
  • ゴムかビニール手袋(使い捨ての方がいい)
  • エプロン(使い捨ての方がいい)
  • ペーパータオル(捨ててもいいなら布でも可)
  • ビニール袋(嘔吐物を確実に入れれる大きさ)
  • 次亜塩素酸ナトリウム

これらをどう使うかは、ノロウイルスの本場牡蠣の養殖で有名な広島市のホームページに詳細解説されていますのでご参考にしてください。

なお、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性であること、漂白作用があること、金属を溶かしてしまう作用があるので、嘔吐した場所によっては使えない素材があります。

容器の後ろに使えない素材が書いてあるので、必ずチェックしてくださいね。

次亜塩素酸ナトリウムが使えない時は、消毒用のエタノールを使って二度拭きするとよいでしょう。

ノロウイルスにかかった時の治療方法・対処方法

ノロウイルスに直接作用する薬はありません。

病院を受診しても症状を和らげる薬をもらえるだけですので、必ず病院に行く必要はありません。

むしろ受診した時に他の患者さんにうつしてしまうリスクもあるので、嘔吐や下痢で失われた水分を補給して家でしっかりと休養をとってください。

ただ、何か飲んでもすぐに吐いてしまうなど全く水分補給できない場合は、さすがに病院受診が必要ですので我慢のしすぎは禁物です。

水分補給には効率的に水分が体内に吸収されるように設計され、点滴と同じ効果があるとされる経口補水液「OS-1」が最適ですよ。

吐くだけ吐いて、下痢するだけ下痢をして、体の中のノロウイルスを全部出しきってしまうことが重要。

そのため、下痢を治すために正露丸などの下痢止めを飲んではいけません。

せっかく下痢でウイルスを排泄しようとしているのに逆に閉じ込めて繁殖しやすくしてしまいます。

しかし、善玉の腸内細菌を増やして戦ってもらうことは有用ですんで、整腸剤はむしろ積極的に飲むとよいでしょう。

まとめ

めちゃくちゃツライ症状になるノロウイルスへの感染予防方法と治療方法をまとめました。

日々の感染予防には風邪やインフルエンザと同じく手洗いとうがいが重要です。

ノロウイルスは小さく皮膚のしわの中に入り込むほどですから、感染予防をさらに徹底したいのであればクエン酸入りのエタノールを使った消毒も有効です。

嘔吐物にはウイルスがたくさん含まれていますから処理者は念入りな感染予防をすることと次亜塩素酸ナトリウムを使った強力な消毒が必要です。

ノロウイルスにかかってしまったらOS-1での水分補給と整腸剤を服用して家でしっかりと休養ととってください。

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