薬剤師が解説 ノロウイルスの消毒・予防・治療方法 エタノールも効果あり!

毎年冬になると流行する感染症の一つノロウイルス。2016年12月時点では新型ウイルスが発生したとかで、全国的に幼稚園や小学校で休校が相次ぐほど大流行しています。

ノロにやられると腹痛、吐き気、下痢と消化器系の症状が強くてとてもつらいですよね。ご飯は全く食べれませんし、突然こみ上げてきて時に「マーライオン」のごとくなり、トイレともお友達になること必至です。

小さい子供においては寝ている間に発症して布団を汚してしまうなんてケースもあって、重症になるリスクはあまりないものの本人のみならず家族や周りの方の肉体的、精神的に大きな影響を及ぼすとても怖い病気です。

感染力が強く、現時点ではウイルス自体に効く特効薬はないとされていますから、日々の感染予防と適切な汚物処理を行って感染拡大防止に努めることが重要です。

ってことでこの記事では、まずはノロウイルスがどいったウイルスなのか、ノロウイルスに少しでも感染しないようにする予防方法、そして感染してしまった後の治療・対処方法を薬剤師の観点で紹介します。

まずはノロウイルスのことを知ろう

ノロウイルスの歴史

私もそうですが、30歳くらいより上の方は子供の頃には「ノロウイルス」なんて言葉は聞いたことはなかったはずです。

それもそのはずで、平成14年の国際ウイルス分類委員会で命名が決定された新しいウイルスだからです。

感染性の胃腸炎としての病気としては昔からあったとは思いますが、それがノロウイルスが原因と確認されはじめてまだ15年足らずの存在です。

ノロウイルスはどんなやつ?

ノロウイルスは「RNAウイルス」という分類のウイルスです。インフルエンザウイルスやエイズの原因となるウイルスも同じRNAウイルスです。

インフルエンザウイルスみたいに様々な仲間がいるウイルスですが、実は実験室ではウイルスを増殖させる技術がまだないため、どれくらいの種類があるのかはもちろんのこと、感染経路の詳細やどういった消毒剤が効くのかなど詳しいことが分かっていないウイルスです。

ノロウイルスの研究はどうやって進めている?

ノロウイルス自体を実験室で入手することができないため、ノロウイルスに関する研究はウイルスの分類上で似たようなウイルスで研究を進めています。

でもウイルスの分類は人間が勝手に決めたものですから、実は性質が結構違うこともあって似たようなウイルスでの結果がいつも正しいとは限らないということに注意が必要です。

昨日までは「白」と言っていたことが、ある日突然「黒」と言い始めることだってあり得ます。

これまでにもそういったことが起こっていて、エタノールはノロウイルスを全く消毒できないとされていましたが、今ではエタノールでも一定の消毒効果があることが分かっています。

これは、ノロウイルスには、ウイルスが効率よく増殖するためなど様々な機能を持つ「エンベロープ」を持たないため、同じくエンベロープを持たない他のウイルスが消毒剤に強いこともあって、殺菌効果が強力ではないエタノール消毒は効果がない推測されていたためです。

ノロウイルスの感染予防の基本

日々の感染予防は「手洗い・うがい」

ノロウイルスに限らず、感染症予防の基本は「手洗いとうがい」です。

風邪やインフルエンザの予防と同じことが、ノロウイルス予防にもそのまま使用できますので、詳細は下記リンクの記事をごらんください。

https://industrial-pharmacist.com/?p=310

家族・同僚や親しい知人が感染している時の感染予防

近しい方がノロウイルスにかかっている場合、いわゆる「濃厚接触者」の場合でも手洗いとうがいをきちんと行うことで十分感染予防できますが、徹底した感染予防をしたい場合には、消毒剤も追加するといいでしょう。

ノロウイルスに効果的な消毒剤は、強い作用を持つ「次亜塩素酸ナトリウム」です。でも次亜塩素酸ナトリウムは人間の皮膚をも溶かすほど強力ですから手に直接使うことはできません。

そこで手の消毒剤と言ったらまず最初に思い浮かぶ「消毒用エタノール」ではどうかということです。上の方に先に記載してしまっていますが、エタノールでもノロウイルスへの消毒効果はあります。

エタノールがノロウイルスに効果があることは、アルコール協会が策定しているガイドラインで解説されています。少し難しい内容を含みますが興味があれば読んでみてください。

単なる協会のガイドラインというと宣伝のように思えますが、このガイドラインを受けて厚生労働省がノロウイルスへの対応方法を変更していますので信頼性は高いと考えます。

繰り返しになりますがここで注意が必要なのは、ノロウイルスはエンベロープを持っていないウイルスであり、消毒剤には基本的には強いためエタノールだけでは消毒効果は十分ではないことです。

石鹸を使った十分な手洗いをした上での追加や補助として、エタノールを使用したらより効果的ではないでしょうかってことです。

最近ではクエン酸などの酸を加えてノロウイルスへの殺菌効果を高めたエタノール製剤も発売されています。ただ、「ノロパンチ」などのスプレータイプはスプレーの勢いでウイルスを舞い上がらせてしまいますので、そぉっと使えるジェルタイプがより有用と考えます。

嘔吐物の処理方法・感染予防

嘔吐物にはノロウイルスが大量に含まれているため、嘔吐物を片付ける際に処理者が感染しないようにマスクなどの装備をきっちりとすることと消毒剤を使って嘔吐物内のウイルスを確実に退治することが必要です。

この場合の消毒剤は、強力な「次亜塩素酸ナトリウム」が必要です。

次亜塩素酸ナトリウムは、塩素系漂白剤で「キッチンハイター」や「カビキラー」などの成分ですので、ノロウイルス用に改めて購入する必要はありません。家にある次亜塩素酸ナトリウムが使えます。

嘔吐物の処理に必要なグッズ

  • 不織布マスク(インフルエンザ予防のやつ)
  • ゴムかビニール手袋(使い捨ての方がいい)
  • エプロン(使い捨ての方がいい)
  • ペーパータオル(捨ててもいいなら布でも可)
  • ビニール袋(嘔吐物を確実に入れれる大きさ)
  • 次亜塩素酸ナトリウム

これらをどう使うかは、ノロウイルスの本場牡蠣の養殖で有名な広島市のホームページに詳細解説されていますのでご参考にしてください。

なお、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性であることや漂白作用、金属腐食作用がありますので、嘔吐した場所によっては使えない素材があります。

その時は、消毒用のエタノールを使って二度拭きするとよいでしょう。

ノロウイルスの治療方法・対処方法

ノロウイルス自体に作用する医薬品は現時点ではありません。

もしかしたら他のRNAウイルスに効く薬で効果があるかもしれませんが、ウイルスが実験室で培養できないため効果がある医薬品が発見できていません。

病院を受診しても症状を和らげる薬をもらえるだけですので、受診する意味はあまりありません。むしろ受診した時に他の患者さんにうつしてしまうリスクもあります。

嘔吐や下痢で失われた水分を補給して家でしっかりと休養をとってください。

ただ、何か飲んでもすぐに吐いてしまうなど全く水分補給できない場合は、さすがに病院受診が必要ですので我慢のしすぎは禁物です。

水分補給には効率的に水分が体内に吸収されるように設計され、点滴と同じ効果があるとされる経口補水液「OS-1」が最適ですよ。

下痢を治すために正露丸などの下痢止めを飲んではいけません。せっかく下痢でウイルスを排泄しようとしているのに逆に閉じ込めて繁殖しやすくしてしまいます。

しかし、善玉の腸内細菌を増やして戦ってもらうことは有用ですんで、整腸剤はむしろ積極的に飲むとよいでしょう。

まとめ

めちゃくちゃツライ症状になるノロウイルスへの感染予防から治療までをまとめました。

日々の感染予防には風邪やインフルエンザと同じく手洗いと石鹸が重要です。ノロウイルスは小さく皮膚のしわの中に入り込むほどですから、感染予防をさらに徹底したいのであればエタノールを使った消毒も有効です。

嘔吐物にはウイルスがたくさん含まれていますから処理者は念入りな感染予防をすることと次亜塩素酸ナトリウムを使った強力な消毒が必要です。

ノロウイルスにかかってしまったらOS-1での水分補給と整腸剤を服用して家でしっかりと休養ととってください。

参考:腸内細菌を整えよう

https://industrial-pharmacist.com/?p=3074

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