薬剤師がダイエット方法について考える 薬を使えば楽にやせれる?

ダイエットの原則は「消費カロリー>摂取したカロリー」にすることです。

どれほどの体重をどのような期間でやせるためにはどの程度の食事制限と運動を行わなければいけないのか、kcalの計算方法や具体的な実施例を前回の記事でお伝えしています。

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そうはいっても薬をのんで簡単にやせられる方法がないのかを知りたくてこの記事を見て頂いていると思いますので、この記事では薬剤師のブログらしく薬をつかったダイエット方法について紹介します。

ただ、薬を使うといってもダイエットの原則である「消費カロリー>摂取したカロリー」を実施することに変わりありません。

ダイエット用の薬は、その原則をやりやすくするためにサポートするということになります。但しそれは副作用が発生するリスクを取ることとの引き換えにはなりますが。

ダイエット専用の体重低下作用がある薬

先に言ってしまいますが、体重低下作用が認めれている薬の内、美容のためのダイエットに安心して使用できる薬は世界中を探しても2016年現在では存在しません。

起こりうるリスク(副作用)と得られる効果を天秤にかけると、病的に太っていて今すぐやせないと他の病気になって命が危ないということでなければ、どのダイエット薬もリスクが有益性を上回ることはないと考えられます。

とは言っても気になると思いますので、世界で販売されているダイエット薬を紹介しておきます。1個だけ日本でも発売されています。

  • マジンドール
  • フェンテルミンとトピラマートの合剤
  • ロルカセリン
  • オルリスタット

それぞれを詳しく見ていきましょう。

マジンドール(サノレックス)

日本でも販売されているダイエット薬で、食欲を抑えることで食べ過ぎを少なくし摂取カロリーを減らす薬です。

服用した人の75%がやせられるという薬で、20年以上前から使用されている歴史ある薬です。

薬を飲めば食べたくなくなるこの薬は、何もしなくてやせられる夢のような薬に思えますが、脳に効きすぎて覚せい剤と同じように「依存」状態になってしまう恐れがある薬です。

そのためマジンドールが使用できる人は、病的に太っている方などかなり限られます。さらに使用できる期間も3ヶ月以内と設定されています。

また、昔の薬過ぎて、臨床試験(人に飲ませる実験)がほとんどされていません。
今の薬は発売前に多くの臨床試験を行って有効性や安全性を確かめますが、昔の薬はろくに臨床試験をしていません。漢方薬なんかいい例ですが、昔から使っているからという理由で薬になっているものもあります。

ということで、マジンドールはほぼ確実にやせれると思いますが危険性があります。
美容クリニックでも気軽に処方してくれるものの医師と十分話し合ってから決めてください。

フェンテルミンとトピラマートの合剤(日本未発売)

フェンテルミンは覚醒剤アンフェタミンに非常に良く似た化合物で、マジンドールと同じく食欲低下作用があります。

トピラマートは、本当はてんかんの薬で日本でも「トピナ錠」という商品名で発売されているような薬です。トピラマートには、副作用として「体重低下」があるため、それを逆に利用してダイエット薬として使用されます。

アメリカではこの2つの成分が混ざった薬「Qsymia:キューシミア」が販売されています。

上述のとおり、フェンテルミンは覚せい剤に似た薬ですので「依存」になってしまう可能性があります。さらに過去にフェンテルミンによく似た薬もアメリカで販売されていたようですが、心臓への副作用が多くて販売中止となってしまいましたからこの薬も安心できません。

ロルカセリン(日本未発売)

最も新しい種類のダイエット薬です。

脳内のセロトニン受容体というところに作用して少しの食事でも満腹感が得られるようにする薬です。同じ脳に作用する薬ですがマジンドールとは違って、「うつ」とか精神系の病気の治療薬に似たようなものです。

日本の製薬会社エーザイがアメリカでの販売権を持っているため、いつかは日本で販売されるかもしれません。

ただ、同じ作用の薬が過去に副作用で販売中止になっていたり、癌を発生させる可能性があると考えられるようで、この薬も気軽に手を出すべきではありません。

うつの薬も依存とまでは言いませんが、脳が薬に慣れてしまって急に薬をやめると禁断症状が出ることがありますから、このような点からもやめておいた方がいいと思います。

オルリスタット

アメリカでは、医療用医薬品としては「Xenical:ゼニカル」という商品名で販売されています。また、市販薬でも発売されており「alli:アライ」という商品名です。

腸管からの脂肪吸収を抑制する薬で体への油の吸収を止めてしまいますから、吸収されなかった油はう○こと一緒に出ることになりますが、その量はハンパないという噂です。

また便意をコントロールできなくなることがありパンツを汚す可能性があるようです。(恐ろしい副作用ですね・・。)

さらには肝臓への副作用があって厚生労働省は個人輸入しないよう呼び掛けています。

実はオルリスタットと同じ作用を持つ薬が日本でも発売してもいいことが認められていますが、ダイエット効果が弱いために薬の値段がつけられないということで発売には至っていません。

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本当は違う病気の薬だけどダイエットにも利用される薬

次に紹介する糖尿病の薬や脂質異常症の薬をダイエットに効果があるとして処方してくれる美容外科があるようですが、そのダイエット効果はどうなのかを解説します。

  • ボグリボース、アカルボース、ミグリトール
  • エゼチミブ
  • GLP-1作動薬:リラグルチド、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド
  • SGLT2阻害薬:スーグラ、イプラグリフロジン、ダパグリフロジン、ルセオグリフロジン、トホグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン

ボグリボース、アカルボース、ミグリトール

それぞれベイスン、グルコバイ、セイブルという商品名で販売されている糖尿病治療薬です。

炭水化物をブドウ糖に分解させなくする薬で、糖分の吸収をゆっくりにさせて急に血糖が増加させるのを抑える作用があります。

急激な血糖上昇を抑制する作用があるだけでいずれは全ての糖分は吸収されてしまいカロリー的には変わりありません。

エゼチミブ

ゼチーアという商品名で販売されている脂質異常症の薬です。

食べ物からコレステロールの吸収を抑えて血中コレステロール値を下げる薬です。

コレステロールと聞くと油のようなものをイメージしますが全く違います。カロリー=コレステロールではありませんのでコレステロールの吸収を抑えたところで体重には効果はありません。

GLP-1作動薬:リラグルチド、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド

食事をした時に消化管から出てくるホルモンのような薬で、体を食事をしたような感覚にさせてしまうため食欲が減る作用があります。

この系統の薬は、ビクトーザなどの商品名で日本でも複数発売されており、体重減少作用も認められてはいますが、いずれも注射薬であって美容クリニックなどで処方してもらったとしても少し敷居は高いと考えられます。この点さえ乗り切れば、食欲を抑える系では一番いいと思います。

ここまでで紹介したダイエット薬は、副作用のリスクが極めて高くて全くおススメしませんが、GLP-1作動薬であればダイエット用にはいいかもしれません。

注射が定期的にきちんとできるのであればですが。

SGLT2阻害薬:スーグラ、イプラグリフロジン、ダパグリフロジン、ルセオグリフロジン、トホグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン

この系統の薬は、血液中を流れる糖を強制的に尿から排出させてしまう薬です。体から糖がなくなるので、食事をとらなかったのと同じ状態になるため、ダイエット効果があります。

元々の体重などで個人差はありますが、3~数キロの体重減少効果はあります。

ただ、この体重減少効果は、糖と一緒に水分が出ていくだけではという指摘もあり、その効果のほどはあまりないという話です。同じ理由で、血管が詰まる脳梗塞などを引き起こすことが指摘されています。

発売されてまだそれほど時間がたっておりませんので、ダイエット目的で服薬するには十分注意が必要です。

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まとめ

飲むだけでやせられる薬が世の中にあるのは確かです。

しかし、精神依存性があったり副作用・安全性の面で問題があったり、安易に使用するのはどうかと思います。現段階ではダイエットをするのに薬に頼るのはまだ早いと思います。

ダイエットの基本は、「消費カロリー>摂取したカロリー」にすることです。

運動をしたカロリー消費はかなり大変ですから、「食べ過ぎない」が最も手っ取り早いダイエット方法です。

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直接やせる薬は服用をやめた方がいいですが、太らないようにする可能性がある薬やサプリメントであれば副作用・安全性に問題なく、服用できるのではと考えます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

https://industrial-pharmacist.com/?p=1283

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