2013年6月に「アコファイド錠」という新しい胃薬が発売されました。
同じような作用の薬は昔からあったので、薬としては際立って新しいということではありませんが、アコファイド錠の効能が「機能性ディスペプシア」という聞きなれない病気であるところがが他の薬と違います。
この記事では、新しい胃薬アコファイド錠とはどのような薬か、機能性ディスペプシアとはどのような病気なのか、機能性ディスペプシアを予防するにはどうすればいいのかを紹介します。
目次
アコファイド錠の効能「機能性ディスペプシア」ってどんな病気?
アコファイド錠の対象となる病気・症状とは、「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」。
少し小難しく聞こえる「機能性ディスペプシア」とは、とてもありふれた胃の症状で、内視鏡検査、バリウム造影検査などの胃の検査を行っても異常が見つからないけど、「胃の痛み」や「胃もたれ」などの胃症状が長期間続く病気のこと。
ピロリ菌に感染していても胃が荒れているなどの異常がなければ、機能性ディスペプシアと診断されます。
機能性ディスペプシアとは、最近新しく確立された診断名で、これまでは原因不明の「慢性胃炎」や「神経性胃炎」と診断されていたものが、機能性ディスペプシアと呼ばれるようになりました。
胃の調子が悪くて病院を受診する人の半分くらいがこの病気に該当するようです。
あと年をとると何か調子が悪いなぁと感じる多くの場合が機能性ディスペプシアであることが多く、そもそも日本人の4人に1人がかかっている調査結果もありますので、誰でもかかる可能性がある病気です。
機能性ディスペプシアの症状はどんな?
次の4つが機能性ディスペプシアの主な症状です。
- 食後の胃もたれ
- すぐにおなかがいっぱいになる(早期飽満感)
- みぞおちが痛い(心窩部痛)
- みぞおちの焼ける感じ(灼熱感)
機能性ディスペプシアと診断される基準
機能性ディスペプシアは、「Rome基準」という国際的な診断基準があって、次の①の症状の中から1つ以上と、②の状態の両方を満たすことというのが明確に決まっています。
繰り返しになりますが、機能性ディスペプシアとは、検査で何にも異常がないけど長い間、なんか胃の調子が悪い。そんな病気です。
①の症状
- 辛いと感じる食後のもたれ感
- 早期飽満感
- 心窩部痛
- 心窩部灼熱感
②の状態
- 上部消化管内視鏡検査などにて症状を説明可能な器質的疾患がない
- 以上が、半年以上前からあり、少なくとも最近3ヶ月に上記診断基準を満たす
機能性ディスペプシアを予防するために生活で気をつけたいこと
原因がはっきりしない病気ですので、はっきりしたことがいえませんが、胃にやさしいのは次の行動です。
アコファイド錠を飲まなければならない症状がある時は、生活の見直しをしてみよう。
- できるだけ決まった時間に食事をとる
- よく噛んでゆっくり食べる
- 腹八分目にする
- 揚げ物や辛いものなど胃に負担のかかる食事をとり過ぎないようする
- 食後には休息をとる
- 十分に睡眠をとり、ストレスや疲れをためないようにする
- 適度な運動をする
- アルコールは摂りすぎない
アコファイド錠はどんな薬?
アコファイド錠は、副交感神経の神経伝達物質である「アセチルコリン」を分解する「アセチルコリンエステラーゼ」の働きを抑制し、副交感神経を活発化することで消化管の動きをよくする薬です。
副交感神経は消化管の働きを正常にする働きがありますんで、このような効果が期待できるというワケ。
同じ消化管の動きを良くする薬に「ガスモチン」、「ガナトン」があります。
ガスモチンは、胃などにあるセロトニン「5-HT4受容体」を刺激して、アセチルコリンの量を増やす働きをします。
一方、ガナトンはドパミン「D2受容体」を抑制することで、アセチルコリンの量を増やすのとアセチルコリンエステラーゼの働きを抑制することによってアセチルコリンの量が減るのを防いで効果を発揮します。
なので、アコファイド錠は、特にガナトンととても似た薬で、すごく目新しい薬ということではありません。
新しい所は、「機能性ディスペプシア」という新しい概念の病気に対して効果があることを厚労省が認めているところです。
まとめ
検査しても異常が無いのに胃もたれや胃痛が起こる場合は、「機能性ディスペプシア」なのかもしれません。
アコファイドは、従来使用されてきた治療薬「ガナトン」や「ガスモチン」と比べて、薬の効果の面では目新しさはありませんが、機能性ディスペプシアという新しい病気に使えるという面で画期的な薬です。
胃薬なのに便秘や下痢などの胃腸の副作用が出やすいようですが、基本的には安全な薬です。
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