いつまで飲める?飲み薬が服用できる期間を薬剤師が解説【錠剤・粉薬・シロップ】

食べ物とと同じように薬にも口にできる期限があります。

市販薬であれば箱に使用期限が記載されていますが、病院で医師が処方する薬(医療用医薬品)には普通は使用期限を教えてもらえることはありません。

家に飲み薬があるけど、これって飲んでも大丈夫かな?って経験がありますよね。

そこでこの記事では、錠剤や粉薬、赤ちゃんが飲む液体のシロップ剤について、いつまで服用できるのかを薬剤師が解説します。

目薬、点鼻薬、湿布薬などの外用薬の使用期限については別の記事になっていますので、次のリンクからアクセスしてくださいね。

薬の「期限」とは、有効期限ではなく使用期限

食べ物は、「賞味期限」「消費期限」の2つがありますよね。

賞味期限は「その日までに食べないとおいしくないよ」という日付で、消費期限は「その日までに食べないといけませんよ。食中毒などの危険性がありますよ」という日付。

飲み薬ではどうでしょうか。

薬の期限と聞くと「薬の効果がある期間」と多くの人が思っています。

でも実は、薬でいう期限とは、「有効期限」ではなく「使用期限」になります。

「その日までしか効果ない」のではなく、「その日までに使用しないといけませんよ」という日付です。

その薬を発売している製薬会社や厚生労働省が、薬の効果を保証している期間のこと。

薬の期限とは、食べ物でいう「賞味期限」に近いイメージです。

必ずその日付を守りましょうってこと。

薬の使用期限を決める方法とは?

まず新しく薬が発売になる時の話です。

薬になる候補を見つけ研究の段階で、高温多湿の環境や光にあてる環境など薬にダメージが起こりやすい過酷な環境下で、有効成分がどれくらいの期間もつのかの試験をして、最初の使用期限が決められます。

この段階での使用期限は、あくまで参考値ですから短めに設定されてます。

次に発売後の話です。

メーカーでは研究段階から薬のサンプルをたくさん準備していて、一般家庭でよくある普通の環境でずっと保管していて、有効成分がどれくらい問題なくもつのかが確かめられています。

これによって、発売時に決めた使用期限よりも長くもつことが確認できたら厚生労働省に申請して、使用期限の延長がなされます。

多くの薬は、製造から2~3年間が多いですが、薬によって本当にマチマチ。

5年間くらいの薬もあります。

ただ、メーカーとしては、長い使用期限を設定するよりも短い使用期限を設定して、病院や薬局が新しい薬を買ってもらえるようにしますので、あまり長い使用期限はありません。

逆に抗インフルエンザ薬の「タミフル」や「リレンザ」のように公共性の高い薬は、発売当初の使用期限は1年だったのですが、現在では10年に設定されているものもあります。

使用期限を過ぎた薬を飲むとどうなる?

錠剤や粉薬の使用期限が過ぎると有効成分が分解してしまって期待される効果が得られなくなる予想外の副作用が出てしまうリスクが高まります。

液体のシロップ剤では、細菌が繁殖することもあるでしょう。

また、ひどい副作用(命に関わる・障害が残るなど)が発生してしまう時に使える国の補償制度「医薬品副作用被害救済制度」は、使用期限が過ぎている薬では、適用されないデメリットもあります。

使用期限を早めてしまわないよう適切に薬を保管する方法

シロップ剤以外の飲み薬の適切な保管方法は、直射日光が当たらず湿度が高くない室温で保管すること。

さらに言えば、引き出しの奥よりも風通しのよい所の方がよりいいです。

が、これはそれ程気にすることもありません。

ここで言う「室温」とは、1~30℃のことを言います。

日本国内であれば、その範囲からはずれる地域はあまりありませんよね。

東北や北海道の冬など室温の範囲から外れることが多い場合、湿度が高い地域にお住まいの方は冷蔵庫で保管すると良いでしょう。

注意したいのは、冷蔵庫の温度は6℃前後なんですが、送風口の近くだと凍っちゃうこともあるんで気をつけてくださいね。

市販薬の使用期限を確認する方法

市販薬の使用期限は、箱やビンに書いてあります。

なので、開封後の箱は捨てないようにしてください。

注意事項も記載されている説明書も絶対に捨ててはダメ。絶対!

病院で処方される薬の使用期限はどれくらい?

錠剤、カプセル剤、粉薬の使用期限

多くの薬の使用期限は2~3年ですが、皆さんが薬を入手した時の使用期限でないことに注意。

2~3年という使用期限は、製造日からの期間で、薬が作られてからメーカー、卸(商社)、病院や薬局がどれくらい在庫として、持っていたかによって変わります。

よく使われる薬であれば回転が速いので、製造日からの使用期限とほとんど変わりありませんが、あまり使われない薬だと手元に来るまでに年単位の時間がかかっていることがあります。

普通は、在庫や流通でだいたい半年くらいが経っていると思ってください。

なので、飲み薬の使用期限は病院や薬局で入手してから「約2年」と思っておけばいいでしょう。

最近では、吐き気止めの「プリンペラン」や整腸剤の「ビオフェルミン散」などでは、薬の包みに使用期限が刻印または印刷されていることがあるので、手元の薬をチェックしてみてください。

錠剤や粉薬を包装から取り出してしまった時の使用期限

薬によっては、空気中の水分で溶けてしまったり、光に極端に弱いものなど、さまざまな特性があります。

そのため、袋を開封したり、包装から取り出してしまったらその日までとしておいた方が安全です。

シロップ剤の使用期限

赤ちゃんが向けの薬「シロップ剤」は、メーカーが発売している原液を水で薄めていることが多いです。

水分が多いと細菌が増えやすく、腐ってしまう可能性があります。

なので、シロップ剤は入手してから1週間が使用期限と考えてください。

ちなみに他の飲み薬と違って、少しでも細菌繁殖を抑えるために冷蔵庫で保管しておく方が安全です。

病院や薬局で薬の使用期限を教えてもらえない理由

一番の理由は、医師から処方された薬で症状が治ったら服用をやめて、残りを家で保管しておいて、次に同じような症状が出た時にその時の薬を服用するのを防ぐため。

同じような症状でも違う病気かもしれないので、その都度医師の診察を受けてそれに合った薬で治療すべきなのです。

しかし、花粉症や生理痛など毎回受診することもない症状があるのも事実。

そのような場合は、症状が治ったら余った薬はとっておいて次の機会に服用してもいいのかもしれません。

その時は、薬を飲む前に使用期限を必ずチェックしてくださいね。

まとめ

錠剤や粉薬など、シロップ剤以外の飲み薬の使用期限は、保管方法が適切であれば、入手してから約2年と思っておけばほぼ大丈夫。

シロップ剤は手元にきてから約1週間と考えてください。

市販薬は箱に使用期限が書かれているので、箱を捨てるのは厳禁です。

目薬、点鼻薬、湿布薬などの外用薬の使用期限については別の記事になっていますので、次のリンクからアクセスしてくださいね。

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