薬剤師が調剤薬局で働く|特徴や概要・年収・福利厚生・就職転職の秘訣

大学の薬学部を卒業し国家試験に合格した薬剤師は、調剤薬局、ドラッグストア、診療所、病院、製薬関連企業(SMO,CROなど)、製薬会社(MR:医療情報担当者)、製薬会社(研究開発)、医薬品卸のいずれかに就職するケースが多いのではないでしょうか。

私もそうでしたがそれぞれの仕事内容をよく知らないのに大学の先生や友達の意見に流されて就職してしまうことがよくあります。資格で簡単に就職できる弊害なのかもしれません。

よく分からずに就職してしまうと思ってたのと違うことがあって、仕事にやる気がでなかったり、転職をしなくてはいけなくなったり、あまり良い未来は待っていません。

そこで、薬剤師として働き始めて15年は経ち、薬剤師に関連するを仕事状況を色々と知っている私が、薬剤師の主な就職先についてどういった仕事をするのか、給料、休み、働き方などをお伝えします。

就職活動を控えている薬学生や転職を考えている薬剤師の皆さんに参考にしてもらえればと思います。

この記事では薬剤師が最も働く可能性が高い調剤薬局の特徴や概要・年収・福利厚生・就職転職の秘訣をお伝えしましょう。

その他にも薬剤師の就職先を紹介した記事がありますので良ければ参考にしてください。

調剤薬局の概要・特徴

個人経営から上場企業まで調剤薬局の会社規模の幅はとても広いです。

個人経営であってもあらゆる面で質が高いホワイト企業もあれば、大規模チェーンであってもブラック企業も存在します。

まさに玉石混交の状態です。

特に注意したいのが10店舗くらいまでの中・小規模薬局。

社長又は共同経営者やその家族の独裁政権であることがよく見受けられ、本当にブラック企業さながらなことがあります。

当然ながら優良企業もたくさんありますので、何回も見学に行ったりして十分会社の事情を研究しておくことが重要。

患者として処方せんを持って行くのも雰囲気を知れるので「アリ」です。

調剤薬局は、狭い空間、同じ人員、少人数で勤務するため、特に異動がしにくい小規模の会社では人間関係の重要性は計り知れないので、会社の雰囲気って大事です。怠らないようにしたいですね。

調剤薬局の最大のメリットは起業が他の業種に比べてハードルが低いところ。

ラーメン屋などの飲食業を始めると思えば、事業を軌道にのせることも他の業種に比べれば難易度は高くないことでしょう。

しかし、最近では高年齢化社会で必要な医療費が莫大になっており、調剤報酬も削減傾向にあって厳しいため、昔に比べて経営へのセンスが必要になってきています。

調剤薬局の薬剤師の給料

新卒で就職する場合は、他の業種ではありえないくらいの高額な給料をもらえることが多いのが調剤薬局の特徴です。

資格で仕事をするので当たり前と言えばその通りですがね。

しかし、その後の昇給が少ない場合が多く、数店舗以下の会社はその傾向が如実に現れます。店舗数が増えなければ会社の売り上げの伸びは大きくないので、昇給しないという理論は容易に考えられますよね。

スキルを身に着けて転職で年収を上げていく予定であるなら問題がありませんが、それでも上限は年収700万円から800万円くらいでしょう。

調剤薬局によって1000万円クラスになることもありますが、会社役員としてではなく管理薬剤師としてであるなら、過疎地だとか激務だとか何か”裏”がありそう。

また、中小の調剤薬局では、退職金制度が無かったり各種福利厚生が少ないということが多く、結局生涯年収や実質的に使えるお金やサービスとしては、あまり高くありません。

退職金や福利厚生がないのは結構大きいです。

毎月の給料が良いのはこうした制度にかかる費用が上乗せされているからであって、見かけの年収に惑わされないようご注意を。

一方で、上場企業やある程度の規模では、月給は安いですがボーナス、退職金、福利厚生が充実していていて、充実度の高い生活を過ごせる可能性が高いです。

さらに管理薬剤師→薬局長→エリアマネージャー→統括マネージャー→役員 などの出世と共に給料の増加が期待できるのも大きな会社の特徴です。

私の友人で、ある程度の規模の会社役員(社長ではない)をしていますが、給料は月給150万円の年収1800万円と言っていました。

当然ながら起業した場合は、その努力や経営手腕によっては給料は青天井です。

日本で最大手の調剤薬局チェーンの社長の役員報酬は6億円を超えて批判を浴びせられていたのは記憶に新しいです。

調剤薬局での仕事と身に着けるべき考え方

主な業務は近隣医療機関からの処方せんの応需です。

言わずもがなですが、処方せんの内容を吟味できる知識、間違いなく調剤できるスキルが必要となります。

後発品への変更、かかりつけ薬剤師など薬剤師としての真の力量が問われる時代になりつつあって、単に処方せん通りに薬を準備してそのまま患者さんに渡すだけの薬剤師は求められなくなります。

敷地内薬局が認められ、遠隔医療も進みつつある世の中では、お店で待っている従来どおりの「守り型」から変化させないといけない時代になっています。

業界全体での話ではありますが、個人レベルの意識改革も重要ですよ。

また、患者さん、近隣医療機関の医師、同地域の薬剤師とスムーズな意思疎通ができるコミュニケーション力が必要です。

そのコミュニケーション力は今後拡大していくであろう在宅医療の介護の場面でも活かされますので必須能力です。

最近の厳しい調剤報酬では、経営面もかなりシビアにしなければいけません。

調剤報酬の改定ごとに働き方や考え方の転換を自分の意志とは関係なく求められます。例えば、かかりつけ薬剤師の契約人数にノルマが課せられるなど。

この部分はかなり葛藤があると思いますから臨機応変な対応力が薬剤師には求められます。

調剤薬局で働くワークライフバランス

どの店舗もギリギリの人員で運営している場合が多く、近隣医療機関の営業時間に合わせた勤務をしなければいけません。

業務時間は短くても、長い昼休憩のために拘束時間は長いなんてこともありえます。

かかりつけ薬剤師になると24時間体制での心構えも必要です。

一方、公立病院の門前薬局では公務員さながらの時間で勤務できることがあって、同一会社内であっても店舗によって勤務状況が大きく異なるケースがあり得ます。

また、総店舗数が多くない会社や近隣にグループ店舗がない場合は、有給休暇は極めて取得しづらいということがあります。

この辺りは上場企業であればしっかりしているのである程度は大丈夫だとは思いますが安心できないのが実情です。

ただ、資格商売だけあって、働くことへの意識が高くなくても務まるもの事実。必要最低限の知識とスキルがあればやれますから。

有給休暇がとりづらいところを除いて、仕事に対して割り切ってしまえば「楽ができる仕事」かもしれません。

新卒で調剤薬局に就職する秘訣

薬剤師は過剰と言われて長いですが、まだまだ学生に有利な売り手市場です。

新卒で就職する場合は、社会人としてあり得ないよっぽどの人物でなければ、どこにも就職できないなんてことはありません。例えば金髪で面接にいくとか。

とはいっても就職活動する前には「就職活動の心得」みたいな本の1冊程度はマスターしておきたいものです。

社会人として注意すべきことがそういった本から読み取れるからです。

調剤薬局は、ホワイト企業からブラック企業まで、本当に様々で玉石混交とはまさにこのこと。マジでブラック企業があるんで要注意ですよ。

就職希望の調剤薬局の勤務条件(給料、週の勤務時間、休みの日数、勤務シフト、有給休暇など)、会社の雰囲気は、見学や面接を繰り返してしっかりと確認してください。

規模が小さい薬局であるなら絶対にです。

あと研修は自己研さんであって就職先を決める大きな要素ではないと考えていますが、新卒の場合は自己研さんするにしても何をどうしていいか分からないと思いますから研修制度の充実度も確認すべきポイントかと考えます。(転職の場合は重要度は下がる)

調剤薬局へいい条件で転職する時の秘訣

調剤薬局に転職する場合は、給料や勤務体系を全く気にしなければ不採用になることはまずありえません。

でも給料や勤務体系を全く気にしないなんてことは基本的にはありませんよね。

ここが転職の難しいところです。

給料の他に休みやシフト、週40時間を超えた時間の取り扱いや残業代の支払いについては、入社前に十分確認調査して会社と確実に紙面で契約をしておく必要があります。

私も経験がありますが「当然考えておいてくれるだろう」という意識でいると痛い目にあいます。

特に製薬会社などの大企業から転職した場合は注意が必要です。製薬会社のようにしっかりしている会社は調剤薬局にはあまりありません。

細かすぎるほど確認し、その内容を契約書に盛り込みんで必ず紙面で契約をしてください。

給料でうかつに妥協してしまった私が体験した本当にあったエピソードを紹介します。

私が調剤薬局に転職した時、1か月程度のズレで本当に偶然ですが、同じ年で同じような経歴の薬剤師が転職してきました。

私と彼とでは薬局内での立場も業務内容も同じでしたが、実は給料は年間で200万円も違いました。

私は年収500万円、彼は700万円。なぜこの差がついたのか。

実は、私の転職活動は中小の転職サイト1社に登録しただけで、薬局側から提示された条件を交渉することなくそのまま受け入れて転職してしまったのです。

「甘ちゃん」だったと思っています。本当に世間知らずだった。

しかし、彼の場合は大手転職サイトに複数登録していて、担当者と一緒に気になる薬局があれば見学に行くなどフットワーク軽く転職活動をしていました。

転職サイトも大手と中小では、扱う案件の量が全く違いますし、何より年収が高い方が自分らの儲けになる(年収の2~3割が転職会社の報酬)ため、積極的な交渉を行います。

そのため、ちょっとでも気になる点があれば、条件交渉できたりそもそも違う案件を紹介してもらえたりと大手転職サイトはメリットが豊富です。

薬剤師の大手転職サイトと言えば、リクナビ薬剤師マイナビ薬剤師です。

転職するならこの2つには絶対に登録してください。

まとめ

調剤薬局の特徴や概要・年収・福利厚生・就職転職の秘訣を紹介しました。

調剤薬局では、新卒時の給料は一般的に高いですが、福利厚生や退職金で使う分を上乗せしているだけとも言え、生涯年収で計算してしまうとそれほど高額にはならないことがあります。

長居をするなら様々な制度がしっかりしている大手の方がいいですが、すぐに転職をする可能性があるなら月給の高い会社を選ぶのもいいでしょう。

起業するには最適ですから生涯年収や福利厚生は抜きに年収が良いか、スキルが身に付く仕事であるかで決めてしまって、経験が積めたら独立するのも手です。

勤務体系も会社によってさまざま。

この点も就職・転職する前にしっかりと確認し、紙面での契約が必須です。

転職する際には中小の転職サイト1社にお任せで依頼するのではなくて、大手転職サイトに複数登録すると共に自分自身もフットワークを軽くするとよりよい転職ができることでしょう。

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