製薬会社(MR、研究開発)へ就職・転職する秘訣|仕事内容・年収・働き方

私は大学院を修了して最初に勤めたのが製薬会社で就職活動を一番行った業種です。このブログで4つの記事で紹介している薬剤師の主な就職先シリーズで最も得意とします。

薬を創って世に出し、広げるという産業全体で見ても社会的な貢献度が比較的高いのが製薬会社です。製薬会社なくして良い薬が世には出てきませんので「源流」ともいえる存在です。

とはいえ、薬の使用実績情報を揃えて「薬を育てる」のは医療の現場で働く医師・病院薬剤師・薬局薬剤師ですから、どちらが上とか下とかはありません。

共に良い医療の提供を志す仲間ではあり患者さんのために尽くすのが使命ではありますが、製薬会社ではもの作り企業であり営利を追求する企業ですから病院や薬局とは考え方や視点が異なります。

この記事では薬剤師の主な就職先として、給料だとか色々な面で少し野心(?)がある薬剤師が目指す製薬会社の給料やワークライフバランスといった特徴や就職転職についてお伝えします。

なお、この薬剤師の主な就職先シリーズは次の4つの記事で成り立っています。

製薬会社(MR)

概要・特徴

MRとは「Medical Representative」の略で、日本語では「医療情報担当者」と言います。平たく言えば製薬会社の営業マンのことです。

病院、診療所、調剤薬局を定期的に訪問し、医師や薬剤師などに自社製品の薬についての情報提供や宣伝を行います。

薬剤師どころか理系でなくともMRとして活動できますから、後で紹介しますが文系・理系を問わずに就職試験に応募する関係上、就職活動はかなり厳しいものがあります。

MRといえば以前は昼間の営業活動はそこそこに夜の接待漬けのイメージが強くて社会的貢献度が高い会社からは程遠い印象でした。

しかし外資系を中心に接待が少なくなりつつあるところに、2012年より業界の自主規制が厳しくなって今では他の業界と同じような水準に落ち着いており「世間並み」というのが表向きです。むしろやり過ぎなレベルまで少なくなっています。

経費削減の時代もあって昔ほどではありませんが、「転勤族」であることは間違えありません。北海道から沖縄までいつどこに異動になるのかが分からないという面があります。

しかしながら最近では自宅から通える範囲でのみの転勤しかないとか働き方の多様性は広がってきてます。

給料の面

新卒時の給料は医療業界以外の他職種に比べて若干いい程度ですが、その後の昇給スピードはハンパありません。薬剤師の中でも就職時は薬局やドラッグストアの薬剤師の足元にも及びませんが5年も経てば逆転してしまいます。

平均年収が1,000万円を超える会社もあり「勝ち組サラリーマン」となり得ます。ただ、外資系企業を中心に売り上げノルマが厳しくて賞与額の変動が大きい場合があります。

売り上げノルマを常に達成できるやり手の営業マンであれば収入は凄まじいことにもなり得るということです。

また稀に担当エリアに医院や調剤薬局が新規オープンすることで、棚からぼた餅的に売り上げが上がりノルマを大きく達成できて、多くの賞与が得られる場合もあります。

それに加えて福利厚生もかなり充実しているために給料も高いのですがそれにプラスしたメリットもたくさんあります。

大企業の破格の待遇は次の記事を参考

https://industrial-pharmacist.com/?p=2906

逆にノルマを達成できない場合は、給料面でもペナルティがあります。とはいっても基本給が高いために不動産業界などと違ってそれほど大きなものはありません。(上司からの対人的な圧力はあるでしょうが)。

聞いた話だと武田薬品などでは「降格人事」も余裕であるようで、製薬会社も気の抜けない業界になりつつあるのかもしれません。

仕事の面

薬は基本的には医薬品卸を経由して販売しますから営業といっても薬自体を直接手にしたり価格交渉することはありません。医療機関への薬の納品や価格交渉は医薬品卸の仕事です。

薬の詳細情報や診療に役立つ情報を提供したり、時に医師と治療方法についてのディスカッションしたりと高い知識が要求されます。

売り上げを伸ばすためには医師や薬剤師のニーズの訴求と製品知識及びその周辺の疾患などの知識が必要となります。さらには売り上げが伸びない現状への問題点や課題抽出への分析力、打破する解決方法の企画力、それを実行に移せる行動力も必要となります。

製薬会社では新卒からいきなり人事や経理などの他の本社機能部署に配属になることは珍しいです。まずはMRとして採用しておき出身学部やその後の適正を見て人事、経理、マーケティングなどに異動していく事例が多いです。

薬剤師で入社してもいずれは人事などに配属になるなんてケースもあり得ます。実際に私が入社した製薬会社の当時の人事部長は私と同じ大学・学部出身の薬剤師でした。

本当は経理などの他の仕事を行いたい場合でも一旦MRとして入社しておき、異動希望を出しながらそれを待つということになります。早ければ3年程度で異動できるでしょう。まぁこれって入社時からあらかじめ決まっているのかもしれませんがね。

他には臨床開発といった研究的な部署にも異動が可能です。私が勤めていた会社にもたくさんいました。新卒で臨床開発職で入社する人よりも多いくらいでした。

余談ですが、前述のとおり全国転勤があってマイホームを買った途端に異動となり単身赴任を余儀なくされるケースは「転勤族あるある」ですよね。

ワークライフバランス、就職転職

ワークライフバランス

接待が横行していた時代は昼間よりも夜の活動の方が活発でとてもワークライフバランスがいいとは言えない状況でした。

昨今では残業抑制などもあり帰宅がそれほど遅くなることはありません。ただ、医師会や薬剤師会などの行事や勉強会を手伝うことも多くて夜間や休日の仕事も結構あります。

また大学病院の担当や大規模病院の主要医師の担当となると講演会や学会などへの同行などもあり得ます。

ただし、会社としての年間休日はトップクラスで、土日祝日、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始休暇などフルで休みになるケースが多いのに加えて有給休暇もかなり取得しやすいです。

新卒での就職

研究開発職に比較すれば門戸は広い一方で、学部を問わず応募があるため薬剤師は若干有利な面があるものの、それでも競争は熾烈を極めます。

一つの会社に何千人と応募するために一人ひとりをじっくりと選考することは不可能であるため、SPIなどの適正テストをクリアするのが最も重要で、対策を怠っては絶対に採用されることはありません。少しでもいい点数が取得できるように入念な準備が必要です。

今ではインターネットで過去ではどのような試験の傾向であったかが分かると思いますので、調査したうえで必要な本を購入してしっかりと勉強するようにしましょう。

同じ理由で履歴書やエントリーシートでは文章の内容も練る必要がありますが、それよりもパッと見の印象が案外重要です。顔が良いとか悪いとかではなくて、ぱっと見て暗い印象の場合は不利となりやすいですし、手書きの場合は字が汚い(乱雑でなければいい)と印象が良くありません。

その次の面接では、結果よりもその結果を導き出したプロセスや考え方を重視した回答が出来るように準備が必要です。

特にグループ面接では、留学に行っただとか、部活の主将をやっていただとか「スゴイなぁ」と思う経歴を言う人が絶対にいます気後れする必要はありません。

そのような結果よりも中身が重要です。

留学はどのような考えで何を求めて行ったのか、何をやってきたのか、部活の主将をやってどうしたのか、どのような工夫があったのかというプロセスが重要です。

ということは面接で答える内容としては留学や主将など凄そうなことで結果をアピールする必要はなく、普通にバイトやサークルでの活動で十分で、その回答内容に意味を持たせることが必要です。

これを行うヒントの一つを伝授しましょう。

トヨタ自動車の「トヨタ生産方式」の中には「なぜなぜ分析」というのがあります。通常は労働災害が発生した時の真の原因を探るための分析に使用する方法です。

起こった問題に対して、なぜそれが起こったのかを考えます。その回答に対してなぜそのようなことになったのかを考える。それを5回繰り返すと真の原因が導き出されるというものです。

面接で回答する内容に対して、5回深堀りされても回答できるようにしておくことが必要です。留学に行ったということであってもその行動に意味がなければなりません。

企業ではこのように意味をもって活動できる人材が求められています。MRとして売り上げアップに必要な事柄がしっかりと分析できて着実に行動ができる人が求められるということです。

この考え方が分かるおススメの本があります。「コンピテンシー面接マニュアル」です。

ここで紹介したのと同じようなことが書かれていますからこの読んで面接に必要対策を学んだ上で自分の棚卸しを行うことが重要です。

また面接とは大学入試の数学の問題に似ていると私は考えます。

大学入試の数学は、数式をこねくりまわして自分の知っている公式に当てはめる作業を行うことだと思います。

面接で回答を用意してなかった難しい質問があっても様々な種類の回答を用意しておけば、なんとかこじつけて答えが導きだせるものです。

前準備が何より大切であるため、入念な準備をするようにしましょう。

転職での就職

MRへの転職はとても活発です。

未経験者であっても採用される確率は高いと思います。ただ薬剤師を長く経験した後だと薬剤師での実績だけでは面接をクリアするのは難しいかもしれません。

上記のとおり回答に意味を持たせることができれば大丈夫だとは思いますが、薬剤師を経験した後にMRに転職したという話は聞いたことがありませんから詳細は分かりません。すみません。

この場合は「なぜMRなのか」への回答が最も重要で、納得できるものであれば合格できると思います。他職種からの転職でも同じです。

MRへの転職を希望するなら転職エージェント経由が早いでしょう。大手になればなるほど大手の転職会社しか利用しませんから有名どころに片っ端から登録することをおススメします。

例えば、マイナビ転職リクナビNEXT、インテリジェンスの「DODA」があります。

製薬会社(研究開発)

概要・特徴

創薬は、10年以上の相当な時間と数百億円の莫大な費用が必要で、ハイリスク・ハイリターンであることから研究開発部門は製薬会社の要といっても過言ではありません。

低レベルの仕事をして本来であれば薬として世に出せるはずが出せなくなったら、その被害は相当なものになりますから質の高い社員が要求されます。

研究職は研究所でこもって対内的な仕事をすることが多いですが、開発職は全国の病院での臨床試験を依頼する役割ですから対外的な仕事がメインとなります。

どちらも基本的には大学院の修士課程を修了していなければ募集要件すら満たせませんから大学院進学は必須条件です。しかしそれは薬学である必要はなくて理系全学科からの応募が可能ではありますが、生命科学系、化学系、生物系、農学系(獣医)がメインとなります。

なお薬剤師と獣医師は6年制ですから6年制の学部卒でも応募可能です。

日本で薬の販売承認を得るために治験を行う必要があるので、資本の国内外を問わず開発部門は日本に存在します。

しかし外資系企業においては日本では製剤研究の工場関係のみで、創薬の基礎研究は行っていないという企業も少なくはありません。

また外資系企業においては日本は「支社」として位置付けている会社が結構ありますから、世界最先端の薬を扱える反面、外国にある本社の意向を強く受けますのでフラストレーションがたまる可能性はあります。(上司がいつも外国人なんてもことも)

そういった点からは国内系の会社の方が働きやすいかもしれません。

給料の面

社内の職務等級・レベルが同じであれば、基本的にはMRも研究開発職も給料は同じである会社が多いとは思いますが、MRの方が売上げに対するインセンティブが大きいのと毎日の外勤手当てがあるためにMRの方が給料が高いことが多いです。

私が所属していた会社では、基本的には給料は同じで後は売上げや年度目標の達成度による査定から生じる個人能力の差だけでした。

ただその職務等級の上がるスピードはもしかすると異なるのかもしれませね。

いずれにおいても年収1,000万円は「普通」の世界であり、世間からしてみれば「勝ち組サラリーマン」であることは間違えありません。加えてMR編でも記載していますが福利厚生もかなり充実していますから生活水準のレベルは高いです。

知り合いで夫婦で製薬会社の研究開発職なんてパターンが結構いますが、年に何回でも海外旅行に行ったりとかなり優雅な生活をしていますよ。

仕事の面

研究部門

有機化学、薬物動態、安全性など分野ごとに分かれており各自の大学院時代の専門に応じた部門に配属されます。

業務内容は大学の研究室での内容とほぼ同様ですが、効率的な業務遂行がより一層求められます。大学の研究室と違って休日出勤や平日に深夜まで研究するということは余程の状況でなければないと思います。

キャリアパスとしては、他の専門分野への異動はあり得ませんが、研究開発の計画を立てる部署、臨床開発、知的財産などの研究関連の部署に異動する可能性は十分あり得ます。

上述しましたが外資系企業を中心に研究所を日本で持たない会社があります。また、現在研究所を保有してもいずれは閉鎖し全員解雇ということもあり得ます。

ファイザーとか万有製薬(現MSD)とかがそうでしたよね。

開発部門

病院を訪問する外勤部門、治験の実施方法などを企画する内勤部門をメインに統計、監査、安全性などの部門があります。

新卒時は外勤又は内勤部門に配属されることが多いと思います。

内勤部門では治験の実施計画を作成することから承認申請資料の作成まで治験に関わる様々な企画と文書の作成を担当します。

ただし、外資系企業の場合は、海外での治験の実施方法を外国本社から強要されることもあり、真の意味で実施計画を作成するとは言えない場合もあり得ます。

一方、外勤部門では、かつては多いときはほぼ毎日出張して北海道から沖縄まで日本全国の病院を訪問して、治験の依頼をしたり試験データの収集やデータとカルテを照合をしたりすることがメインの業務で非常に体力が必要な職種でした。

ただ、近年では電子的に試験データを受信することが大半を占めますから事情は異なります。今ではたまにちゃんと運用できているかを視察に行く程度と聞いたことがあります。

ただ申し訳ないのですが、私はこの電子的なデータのやり取りに直接関わったことはありませんから詳細なことは分かりません。

電子化されて何もかもがうまくいくはずがあるとは思えませんので、それはそれで今までになかった問題や仕事が発生しているのではと思います。

ワークライフバランス、就職転職

ワークライフバランス

いずれの部門も扱う薬のプロジェクトの状況で繁閑が激しいものがあります。

特に開発部門はそれが顕著で繁忙期では毎日終電又はそれ以上ということも十分あります。

ただ普段はMR編でも記載しましたが休日も多く有給休暇も取りやすいために家族と共に過ごす時間は十分あります。

新卒での就職

研究開発職への応募は、修士以上に限定される場合が多い(6年制薬剤師なら可)ため応募可能者はMRよりかは少ないですが、そもそも募集人員が少ないために非常に狭き門です。

さらに会社によっては、学歴フィルターがすごくて大学教授からの推薦がなければ応募できない場合もあります。

私が就職活動をした際にはネットがそれほど発達していませんでしたから片っ端から製薬会社に電話して募集の有無を確認していたのですが、その内の国内の製薬会社のいくつかからは募集は無いと言われたにも関わらず、就職した後に同期がいたことが分かって愕然としたことがあります。

あと一般募集がある場合でも薬学研究科のみだとか、TOEIC○○点以上だとか要件があるため、希望する会社の募集要件は下調べしておく必要があります。

例えば国内最大手の製薬会社ではTOEIC730点が必要なようです。
参考

https://industrial-pharmacist.com/?p=166

特に開発職では、上述のMR編で紹介しているとおりコンピテンシー面接への対策を十分練っておく必要があります。最も重要なのは「なぜ大学院に進学したのか」、「なぜ開発職なのか」、「なぜ研究職ではいけないのか」への回答だと思います。

さらに研究職では開発職よりも専門領域への深い知識、研究への取組み姿勢やその考え方についても回答できるようにしておく必要があります。そしてそれは、なぜその回答なのかについても理由が添えらることも必要です。

最も忘れてはいけないことは、いずれの職種においても応募者は多いですから面接に呼んでもらえるようになることが必要です。

そのためには履歴書やエントリーシート、SPIなどの適性検査への対策もMRと同様に忘れずに。(一部の超有名な教授の推薦があればいきなり面接ということもありえますが)

転職での就職

研究部門、開発部門のいずれも転職はかなり狭い門ですが、同業者であれば案外すんなりと行きます。

むしろそういう人が多すぎて、全く偶然に知り合いと同じ会社で勤めていたなんていう話はよく聞きます。

一方、業界未経験者の場合は事情が異なります。

他の業種の研究部門で実績のある方であれば研究部門への転職は可能だと思いますが、開発職への転職は全く無いことはありませんが難しいと言わざるをえないでしょう。この仕事は薬か医療機器しかありませんから。

また病院や薬局の薬剤師がいきなり製薬会社の開発部門に転職するのも基本的には難しいです。製薬関連会社なら可能なので、一旦そこに転職して実績を積んだ上で製薬会社への転職をチャレンジするのが近道です。

いずれにおいても転職エージェント経由が早いでしょう。大手になればなるほど大手の転職会社しか利用しませんから有名どころに片っ端から登録することをおススメします。

例えば、マイナビ転職リクナビNEXT、インテリジェンスの「DODA」があります。

まとめ

製薬会社(MR)と製薬会社(研究開発)の仕事、給料、ワークライフバランスの特徴や就職・転職時の注意点を紹介しました。

製薬会社への就職はいずれの業種も狭き門で、まずは面接にたどり着けるように筆記試験対策が必要です。その次に面接官をうならせるような回答が必要になるのですが、これは留学だとかスゴイ結果は不要です。

あくまで回答内容に意味があるか、行き当たりばったりで行動していないか、しっかりと現状分析ができ理想的な将来像に近づけるために何が必要かを把握した行動であるかを答えられるように「なぜなぜ分析」をするようにしましょう。

そうして無事就職できた暁には、ワークライフバランスが良くて、世間の水準を大きく超える給料と福利厚生の恩恵を受けられます。

薬剤師として働き始めてから転職するのは難しいので、製薬会社で勤めたいのであれば学生時代から準備しておく必要があります。

なお、この薬剤師の主な就職先シリーズは次の4つの記事で成り立っています。

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