医師が処方する脂質異常症治療薬「エパデールS」と全く同じ成分の市販薬が「エパデールT」という商品名で発売されております。
色々なブログ等で発売する意味が無いとの意見がでておりますが全くもって同感です。
以前に同じような成分の医療用医薬品「ロトリガ」がやっちまっている記事を書きましたが、今回も同じ手法で「エパデールS」の市販薬である「エパデールT」のやっちまっている感をお伝えします。
医師が処方するエパデールSはどんな薬?価格は?
エパデールSは、魚に多く含まれる血液をサラサラする成分EPAと似た成分「イコサペント酸エチル」を含む薬です。
医師の診察と処方が必要な薬です。
エパデールS300、600、900の3種類が発売されており、それぞれイコサペント酸エチル(≒EPA)を300mg/包、600mg/包、900mg/包含んでいます。
通常の服用方法は、900のみ1回1包を1日2回で、あとの2種類は1回1包を1日3回服用しますが、900を1日3回服用している方もかなり多いのが実情です。
2017年現在の薬の価格(薬価)は、それぞれ、39.9円/包、73.2円/包、105.4円/包です。
ただ、古い医薬品ですのでジェネリック医薬品も発売されており最も安い物で揃えると薬価は、16.4円/包、30.4円/包、44円/包とかなりお安くなります。
ということで、1日の薬価と3割負担額は以下のとおりとなります。
- 300を服用:49.2円~119.7円 ⇒ 約15円~約36円
- 600を服用:91.2円~219.6円 ⇒ 約27円~約66円
- 900を服用: 132円~316.2円 ⇒ 約40円~約95円(1日3回服用)
市販薬のエパデールTはどんな薬?価格は?
エパデールTは、医師が処方するエパデールS600と全く同じ成分と量を含んでいる薬で1日3回 1回1包服用します。
今では大正製薬から「エパデールT」のみが発売されていますが、はじめは日水製薬からも「エパアルテ」という商品も発売されていました。しかし、後述の厳しい制限ために「エパアルテ」は2014年に販売中止をしています。
最も残念なのは、エパデールTは「要指導医薬品」なので、インターネットでは購入できませんし、お店で薬剤師から説明を受けなければならず購入が少し手間です。
さらにこの薬は以下の制限も設けられています。
- 健康診断などで中性脂肪値が150mg/dL以上である。
- その結果をもって医療機関を受診した。(受診日と医療機関名を記入)
- 通院治療は不要と診断された。
- 服用できない疾患が無い(出血がない、脳・循環器疾患など)
病院に行かなくてもドラッグストアで手軽に買えるはずの市販薬が、購入するのに一度病院を受診しなければならずさらに値段が高いという。
ありえない話ですね。
市販薬エパデールTを買うのに手間が多い理由
ずばり医師会が反発しているからです。
色々な慢性疾患の医薬品が市販薬化してしまうと医療機関を受診してくれなくなり経営に影響を及ぼしかねなくなるからです。
エパデールを市販薬化すること自体はどうだっていいと考えているはず。しかし、これをすんなり認めてしまうと血圧の薬や糖尿の薬など、経営に直撃してしまう薬が次々と市販薬化してしまうのを恐れているからです。
質のあまり高くない薬剤師もおりますので、薬剤師を完全に信用できないのも一因かもしれません。
病院のみで使っていた薬を市販薬でも発売できるようにする時は、医師会にお伺いしなければいけない経路になっているのが要因です。
サプリメントとしてもEPAは購入できる
サプリメントとしてもエパデールと似た「EPA」が発売されています。
サプリメントと薬との違いは「効果や副作用が確認されているか」の違いです。(製造体制もあります)
サプリメントのEPAとエパデールの成分は、それぞれ「イコサペント酸」と「イコサペント酸エチル」です。
「エチル」が付いているか、付いていないかだけの違いです。化学的にいうと「エチルエステル」があるかないかです。
しかし、エチルエステルは体内ではすぐに分解されて「イコサペント酸」に変化するため、体の中に入れてしまえばサプリメントもエパデールも同じ成分というワケ。
エパデールで脂質に良い効果があるならサプリメントでもEPAにも当然あるでしょうと推測できます。
さらに2015年からは「機能性表示食品」制度が始まり、EPAは薬と同じく「中性脂肪に効果ある」と消費者庁が認めています。
EPAを配合しているサプリメントでは、ネイチャーメイドの「スーパーフィッシュオイル」があります。1粒にDHAを108mg、EPAを162mg含んでおり、価格はアマゾンで1,138円/90粒です。
入っているEPA量から計算するとスーパーフィッシュオイルを1回4粒飲めば市販薬のエパデールT 1包に相当します。
価格は、エパデールTは約414円/日かかるのに対して、スーパーフィッシュオイルでは約152円/日でかなり割安です。
しかも血をサラサラにし、脳にも良いとされるDHAも大量に摂取できるというおまけつきであり、エパデールTの良いところがまるでありません。
まとめ
医師が処方する脂質異常症治療薬「エパデールS600」と全く同じ薬が「エパデールT」という名称で市販薬で発売されています。
しかし、医師会のがんばりもあって、他のどの市販薬よりも厳しい販売規制がありますし、なにより高価な価格設定となっています。
機能性表示食品のサプリメントネイチャーメイド「スーパーフィッシュオイル」を1日12粒摂取すれば、エパデールTと同程度のEPAと血をサラサラにするDHAも摂取でき、エパデールTよりも安価であることが判明しました。
ただ、スーパーフィッシュオイルも医療用の「エパデールS」には価格では到底太刀打ちできません。
- 医療用エパデールS600の一日薬価 :約27円~約 66円
- 市販薬エパデールTの1日価格 :約414円
- スーパーフィッシュオイルの1日価格:約152円
市販薬のエパデールを購入するためには医師の診察を一度受けておかなければならない謎の規制があります。
病院を受診したなら、そのまま医師に「エパデールS」を処方してもらった方が価格を抑えられて、さらに安心感も得られます。
医師から通院が不要とされた人がエパデールTが必要とは思えません。
ということでエパデールTは「誰得?」という市販薬ですね。「エパアルテ」が販売中止にするのもうなづけます。
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